記事番号:T00015365
以下は2009年5月に公開した「台湾の工作機械産業」を編集したものです。
「機械を作る機械」「機械の母(マザーマシン)」と呼ばれる工作機械。その産業の規模は、工業国としての成熟度をよく表している。Gardner Publications, Inc.によると、2008年における台湾の生産金額は世界第5位と、日本やドイツに大きく水を開けられている(図1)。
しかし、だからといって国際競争力がないわけではない。台湾の工作機械メーカーは一般に、売上高の海外比率が高い。産業としての外需比率は7割以上を越えている(図2)。切削機は主に中国や米国に、成形機は主に中国やインド、ブラジル、ベトナムなどに輸出されている。2008年の工作機械の輸出額は前年比7%増の37億2000万米ドルだった。中でもCNCマシニングセンタは、前年比20%以上伸びた。
こうした中、台湾政府は2009年2月に、工作機械メーカーに対する免税等の優遇措置を延長すると発表した。海外メーカーと互する高級機種や新興国に向け低価格機に対する開発投資を促すためだ。台湾政府の目標は、2015年の生産金額を100億米ドルにすることである。
工作機械メーカーは、台湾に約300社ある。その取引先を含めた工作機械関連メーカーは1000社を超えている。そのうち従業員数が30人以下の企業は8割以上であり、そうした企業はキー・コンポーネントをほとんど自社生産できない。社外から購入することが一般的だ。1台の工作機械に必要な部品は1000種類以上といわれている。このため、工作機械関連メーカーの多くは台中市周辺に集中立地することで、生産コストの削減や納期の短縮に努めている。
台湾メーカーが得意とするのは低・中価格帯の汎用的な工作機械である。航空宇宙や電子部品パネルに向けた最先端の機種では、日本や米国、ドイツのメーカーほどの地位を得られていない。この結果、台湾の工作機械産業における貿易黒字は、22億米ドルで世界5位となっている(図3)。生産金額で世界3位の中国は、輸入金額が膨大なため貿易赤字が54億米ドルに上った。
陳 逸如
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