記事番号:T00027510
「EMS/ODM企業抜きではもはや,まともな売り上げを立てられない――」(日系電子部品商社)。ODMやEMS,そして中国語で「代工(だいごん)」と呼ばれる,設計・製造の受託企業の存在感が電機業界で増している。象徴は,台湾Hon Hai Precision Industry Co., Ltd.(鴻海,通称Foxconn)の売上高である。2005年度にシャープのそれを上回った後,2007年度にはソニーのエレクトロニクス部門(映画や金融などを除く)の売上高さえも超えた(図1)。
代工の売上高成長率は,2008年ころからは50%未満が当然になっている(図2)。ただし,日本の電子機器メーカーと代工の取引は,増えるばかりだ。パソコンや家庭用ゲーム機に加えて,テレビやデジタル・カメラ,PND(取り外し可能なカーナビ)の設計・製造も,代工が積極的に請け負うようになったからだ。これを利用することで,富士フイルムのカメラ事業や東芝のテレビ事業は,黒字化あるいは収益の拡大を実現した注1)。
注1)富士フイルムは台湾Altek Corp.(華晶)に,東芝は台湾Compal Electronics, Inc.(仁寶)に,それぞれ委託する場合が多い。
市場調査会社の一部は今も,代工をEMSとODMに区分けしている。EMSは電子機器の組み立てやプリント基板への部品実装を担う企業,ODMはそれに加えて設計なども請け負う企業という分け方だ。しかし,こうした分類は実態に即していない。EMSというサービスも設計というサービスも,低廉な価格で提供できない代工は,生き残れない状況になっているからだ。
このために,シンガポールFlextronics International Ltd.は近年まで苦境に陥っていた。営業利益率がHon Hai社などより低かったばかりか,リストラに起因する巨額の純損失をたびたび計上した(図3~4)。台湾系代工がEMSや設計というサービスの価格を下げられる仕組みを持っていたからだ。(続く)
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