リサーチ

記事番号:T00024981
2010年8月31日0:00

 日本家電の最後のとりで──。デジタルカメラ産業にかかわる日本人の中には、このように自負を込めて自らの産業を呼ぶ人々が少なからずいる。これは消費者から見える市場として正しい見解だ。古くはノートパソコン、最近ではカーナビや薄型テレビまで、日本の家電メーカーは次々と世界市場の隅に追いやられてしまった。この中にあってデジタルカメラは、世界の消費者市場においてキヤノンを筆頭に日本製品が寡占している。

 ただしデジタルカメラ市場は、メーカーに対し全く異なる姿も見せている。一言で言えば、台湾の設計・製造受託企業(以下、ODM)に出荷台数シェアの維持・拡大を依存しているのだ。台湾系ODMの大手4社、すなわち華晶科技(アルテック)、鴻海精密工業、佳能企業(アビリティ・エンタープライズ)、亜洲光学(アジア・オプティカル)の合計生産台数は2009年、3896万台に達した(テクノ・システム・リサーチ調べ)。

 しかも近年は、台湾系ODMに対する設計の依存度がどんどん高まっている。ある日本メーカーのカメラ部門長は言う。「台湾系ODMとの付き合い方を誤れば、わが社は世界市場から放り出される」と。

台湾任せの「A170」がヒット

 日本のカメラメーカーが台湾系ODMを使う理由は当然、設計・製造の原価低減にある。ただし最近まで日本メーカーは、この取り組みによる恩恵を十分に受けられていなかった。日本国内の設計人員の雇用を減らさないよう、時に経済合理性に欠ける開発を日本で行っていたからだ。

 こうした慣習を断ち切ってヒットしたのが、富士フイルムが2009年7月に発売した「A170」だ(右図)。あまり知られていないことだが、同社はA170がヒットする直前まで、撤退を視野にカメラ事業の再構築を検討していた。しかし、思い切った開発体制の変更に基づいて売り出されたA170が、出荷台数面でも利益面でも大きく貢献したことで、同社から撤退という選択肢は消え去った。

 A170における思い切った開発体制の変更とは、設計費用の低減に向けて日本人にほとんど関与させなかったことを指す。富士フイルムの幹部は日本人技術者が反発しないように、開発中は「A170は新興国向け」と説明した。そして実際には、新興国に加えて米国最大級の流通チェーンや、日本の一部流通業者に対してもA170を出荷した。

 富士フイルムがA170の開発で自ら手掛けたのは、ファームウエア調整によって画像の彩度や精細感を高めたこと、レンズの品質検査を厳密にしたこと、レンズを取り囲む外装にメッキのように見える表面加工を取り入れたこと、などにとどまる。

 これだけで済んだ最大の理由は、台湾系ODMのアルテックが設計したベースモデルの出来が優れていたからだ。筆者はカメラメーカーの技術者と、アルテックのベースモデルと同様な「YASHICA EZ F1233」(販売元:エグゼモード)を評価したが、大きな欠点を見つけられなかった。

ポケットムービーも台湾

 A170のヒットは、設計の「丸投げ」が日本メーカーの収益に貢献することを明示した。実は、同じ構図がビデオカメラでも展開されている。台湾系ODMが設計・製造したポケットムービーが、日本メーカーの従来型のビデオカメラを駆逐中なのだ。図3

 ポケットムービーの代表格は、ベンチャー企業だったピュアデジタル社(通信機器最大手のシスコシステムズが買収済み)が企画した「Flip Video」である。Flip Videoは簡便なアップロード機能を備えている。撮影者と被写体になった人が手軽に動画を見れるようにするためだ。光学ズームこそ付いていないが、小型、軽量で、通常200米ドルを切る安さだ。

 2009年の米国クリスマス商戦においてシスコシステムズの販売台数シェアは、ポケットムービーと伝統的なビデオカメラを合わせた市場で50%を超えた。このように拡大したポケットムービー市場で、台湾系ODMは不可欠な存在になった(図3)。販売単価の低さゆえに、日本や米国のビデオカメラ・メーカーは、開発にほぼ手を出せないためだ。しかもシスコシステムズ以外のポケットムービーは、いずれも幹部の大半が台湾人である米アンバレラが提供するASSP(顧客を限定しない特定用途向けLSI)を内蔵している。

ミラーレス機も台湾へ

 カメラ分野における台湾系ODMの役割は、今後さらに増大するだろう。例えば、いわゆるミラーレス・カメラを手掛ける台湾企業が出てきても不思議はない。ミラーレス・カメラとは、10年にパナソニックなどに続いてソニーも発売した高画質機で、一眼レフ機を代替しつつある。ミラーレス機はこれまでの一眼レフ機と異なり、ミラーボックスなどの光学・機構部品が大幅に少ない。このため、製造にかかわる技術的なハードルが非常に低い。

販売レポート
レポート名 発行時期 定価(台湾元) 備考 資料形態
2017年在台日系企業給与レポート 2017.07 10,000 書籍、カラー印刷
2016年在台日系企業賞与レポート 2016.12 5,000 書籍、カラー印刷
2016年在台日系企業労働条件報告書 2016.10 10,000 書籍、カラー印刷
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2016年在台日系企業給与レポート 2016.07 10,000 書籍、カラー印刷
台湾企業倒産危険度ランキング 2015年版 2016.06 6,000 書籍、カラー印刷
2015年度在台日系企業賞与レポート 2015.12 5,000 書籍、カラー印刷
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2014年度「在台日系企業 賞与レポート」 2014.12 5,000 書籍、カラー印刷
台湾健康食品市場調査2014 2014.07 100,000 割引価格NT$70,000 書籍、カラー印刷
2014年版「給与&労働条件レポート」 2014.07 10,000 紙面、カラー印刷
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2010年在台日系企業給与レポート 2010.05 10,000 紙面、65ページ
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