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【ワイズリサーチ】台湾工作機械産業の生産額および輸出状況


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2013年10月9日

機械業界 電機機械

【ワイズリサーチ】台湾工作機械産業の生産額および輸出状況

記事番号:T00062508

序文
 台湾の工作機械産業は数十年にわたる発展の結果、その生産額が世界全体の 5.3%を占めるまでとなり、台湾を世界第6位の工作機械生産国に押し上げた。台湾工作機械産業の特性は、研究開発・設計、部品加工、組み立て、テスト、販売まで一貫したバリューチェーンを完備していることにある。末端の販売サービスは依然、代理店が主に担っていること、および川上の中核部品であるCNC制御装置の海外依存度が比較的高いことを除けば、全体的に見て台湾の工作機械産業は川上から川下まで細やかな分業ネットワークを確立しており、一定水準の国際競争力を安定して維持していると言える。

生産額
 台湾の工作機械産業は2001年から2008年にかけて安定した成長を続けた後、2009年に世界金融危機による打撃を受けたものの、早くも翌2010年には他国に先駆けて回復段階に入った。同年の生産額は前年比100%以上の増加を記録、さらにその力強い成長は2011年も持続した。しかし、2012年になると中国の金融引き締め政策および欧米債務危機の影響を受け、マイナス成長に陥った(図1参照)。



 台湾には、川上のボールねじから川下の組み立てまで、工作機械生産に関するほとんどの機能を自給自足で賄う「中衛体系(大規模メーカーを中心とし、多くの中小メーカーが分業で生産を担う体系)」が形成されており、世界シェアの5〜6%を占める世界第6位の工作機械生産国となっている。なお台湾製工作機械はコストパフォーマンスの高さ(日本製と同水準の品質ながら、価格はその85%程度)において優れた競争力を備えているものの、国内の市場規模が約520億台湾元と小さいため、輸出が生産額の75%以上を占める輸出指向型産業となっている。総輸出額の40%以上を占めるマシニングセンタのほか、約10%を占めるCNC立旋盤およびCNC横旋盤が主力製品だ。また、中国を最大の輸出先とする。

輸出状況
 台湾の工作機械産業は海外市場を主なターゲットとしており、総生産額の77%〜79%を輸出が占めている。なお、輸出全品目のうち約70%を金属切削工作機械が占め、主力製品はマシニングセンタと旋盤となっている。2011年における台湾製工作機械の主要輸出先は上位から▽中国▽米国▽トルコ▽ドイツ――で、同4カ国向け輸出額の合計は総輸出額の約54.6%を占めた。なお最大の輸出先である中国向け輸出額は12.99億米ドルで、総輸出額の約36%に上った。

 市場調査会社、ガートナーの調査によれば、台湾製工作機械の2012年度輸出額は42億米ドルで、イタリア(44億米ドル)に次ぐ世界第4位となっている。また、世界最大の工作機械消費国で、台湾工作機械産業にとっても最大の輸出相手国となっている中国向け輸出額は、2010年から2012年にかけて毎年400億台湾元以上、総輸出額の34%以上を維持している(表1参照)。なお、中国向けの主要輸出品目はマシニングセンタ、CNC立旋盤、CNC横旋盤である(表2〜4参照)。



まとめ

 台湾の工作機械産業は中小企業を主とし、台中を中心にバリューチェーンが形成されている。主要輸出先は中国と米国、主要輸出品目はマシニングセンタと旋盤である。なお、台湾製工作機械の価格は調整幅が限られているが、これは同産業の利幅が小さいことを表す。このため、持続的成長を求めるには市場での浸透力を高めるほか、全力でコスト抑制に努めることが最重要課題となる。コスト抑制には2つの方法が考えられ、1つは部品コストの抑制、もう1つは生産モデルの調整で、特に後者が急務となっている。顧客および販売業者にとっての価値を創造する上で、台湾製工作機械は高いコストパフォーマンスを通じて市場における優位を確保しているが、今後は既存製品を基に技術開発と製品のアップグレードを進め、さらに高いコストパフォーマンスを発揮させることで製品価格の引き上げを目指すべきと考えられる。

 

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