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【ワイズリサーチ】台湾金型産業の現状と課題


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2014年10月2日

機械業界 金型

【ワイズリサーチ】台湾金型産業の現状と課題

記事番号:T00062717

一.台湾金型産業の現状

 台湾金型産業は中小企業を中心とし、資本金が4,000万台湾元を下回るメーカーが全体の98%を占める。かつ北部は電子/3C(コンピュータ、通信、家電)産業、中部は工作機械/手工具産業、南部は自動車/光電/IC産業向け金型を主力とする地域的特性を備える。次頁の図1は金型メーカーの同業者団体、「台湾区模具工業同業公会」の企業名簿を基に台湾金型産業の構造を分析したものである。なお、業界企業を従業員数で分類すると、20人未満のメーカーが2,892社で全体の87%を占め、20〜50人のメーカーが299社で9%、100人以上のメーカーはわずか32社で全体の1%にも満たない。



二.台湾金型産業の課題

(1)スマート化
 金型内にセンサーを取り付けた「スマート金型」は、 生産モニタリングシステム、金型監視システム、ロボットアームといった自動化設備を統合し、シーケンス制御と結合することで生産の自動化および製品品質の向上、生産サイクルの短縮を実現することができるため、将来的な普及が見込まれる。海外では既に金型システムサービスを提供を可能とするシステム・インテグレーション(SI)技術が構築されており、先進的な製造プロセスの導入が進んでいる上、同システムでは高価な金型が主力となり、十分な市場規模を備えるため参入が相次いでいる。一方、台湾ではSI技術を欠いており、先進製造プロセスの導入も進んでおらず、さらに金型メーカーの大部分を占める中小企業は人材、資金力に乏しいため、リスクの大きい新技術の開発に二の足を踏んでいるというのが実情だ。

(2)市場への迅速な対応・長寿命・高精密化
 製品ライフサイクルがますます短くなる時代の趨勢の中、金型の生産もスピード化が求められており、市場の需要に迅速に対応できるメーカーが競争力を発揮する状況となっている。金型メーカーは過去、金型の設計から生産まで約3カ月を要していたが、市場の要求にタイムリーに応える必要から、現在ではこれを1カ月半に短縮することが求められている。同時に生産コストと生産効率向上のため、金型の精度がより重視されるようになっている他、金型の消耗が早過ぎることで生産に乱れが生じることを避けるため、金型の長寿命化も重要な課題となっている。

(3)技術者の断絶
 1980年代以降、 毎日過酷な環境で働かなければならない金型産業のような従来型産業 より、高い給与や手厚い福利厚生が約束され、スーツ姿で冷房の効いた環境で勤務することのできるハイテク産業での就職を選択する新社会人が増えている。また人材育成機関となる大学でも、電子・電機系学部が人気となっている他、飲食、観光などサービス業系の学部開設が増えている。一方で金型関連の学部を置いているのは現在、高雄応用大学のみとなっており、この分野における技術者の育成への取り組みが不十分であることは明らかだ。

三.結論

 台湾の金型産業は日韓にリードを許し、中国からの追い上げに遭うという状況の中、競争力向上に向け、産業集積を進めてサプライチェーンの緊密度を高め、一貫した十全なサービスを提供できる体制を構築する必要に迫られている。また政府には、台湾金型産業が高精密、長寿命、高効率といった目標達成に向け技術レベルが引き上げられるよう、海外企業の投資を呼び込むような政策を打ち出すことが期待される。

機械業界-金型

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