(一般公開)台湾動力工具製造業の現況と展望


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2015年7月23日

機械業界 動力工具

(一般公開)台湾動力工具製造業の現況と展望

記事番号:T00062880

一.業界の現状

1.2015年1~4月生産額・販売額
 2015年に入って以降、米国において経済成長が続き、不動産市場の景気回復や自動車市場の販売増を促していることが台湾動力工具産業に対する需要増に貢献しているほか、米ドル相場の上昇も台湾からの調達規模拡大につながっている。また台湾経済が安定した成長を維持し、自動車販売の増加を促していることから、国内でも動力工具の需要が高まり、当産業の15年1〜4月生産額は47億4,200万台湾元で前年同期比13.35%増、販売額も47億8,300万台湾元と同13.40%増を記録した(表1参照)。



 ただ、第2四半期は米国での需要こそ成長を維持したものの、輸出全体の成長は力強さが失われた。同時に研究機関の多くが同期の台湾の経済成長率の下方修正を行ったように、国内の自動車販売も下降気味となった。これにともなって台湾動力工具産業の需要にも陰りが見え、当産業の第2四半期販売額は前年同期比マイナスに陥ったとみられる。

2.2015年1〜5月輸出入額
 過去数年、台湾動力工具業界ではコスト上の理由から中国での工場設置を進め、そこで生産した製品を台湾で販売するようになり、これが当産業の輸入増を促した。同時に、中国では近年、人件費が上昇を続けていることから、東南アジア諸国連合(ASEAN)地域への生産拠点移設も進んでおり、同地域から台湾への輸入も増加傾向にある。一方、2015年に入って以降、台湾における動力工具の需要は継続して増加しているものの、為替相場の変動を受けて川下業者の輸入意欲が減退しており、国内での調達が一部輸入需要を代替する減少が起きている。こういった状況の中、台湾動力工具産業の15年1〜5月輸入額は8億3,200万台湾元と、前年同期比4.11%の減少を記録した。

 なお同期の国別輸入額は上位から▽中国(香港、マカオを含まず)、輸入シェア・61.44%▽マレーシア、同13.74%▽日本、同8.15%▽ベトナム、同6.12%▽米国、同4.77%――となった。うち中国からの輸入額は前年同期比7.27%増、米国からの輸入は同57.80%増と成長を記録。一方、マレーシアからの輸入は同27.80%減、日本からは同38.94%減、ベトナムからは2.39%の減少となった。

 第2四半期に入り台湾における動力工具需要に陰りが見られる。中華民国税関輸出入統計によると、当産業の2015年4〜5月(5月の数値は速報値)輸入額は前年同期比2.43%減の3億2,200万台湾元。第2四半期通期でもマイナス成長となったとみられる。

 輸出面については、台湾の動力工具産業が主要市場とする米国で不動産市場の景気が好転、自動車販売も上向いたことから動力工具需要が伸びたが、為替の変動および中国における経済成長の鈍化がマイナス要因となり、当産業の2015年1〜5月輸出額は前年同期比3.38%増の17億8,300万台湾元と、成長率に顕著な縮小が見られた(図1参照)。



 同期輸出額の仕向け先上位5カ国は▽米国、輸出シェア・32.12%▽中国(香港、マカオを含まず)、同13.69%▽日本、同8.04%▽ドイツ、同4.38%▽ベルギー、3.66%――となった。うち米国向け輸出は5億7,300万台湾元に達し、前年同期比35.34%の大幅成長を記録。その他4カ国は中国向けが同5.69%減、日本向けが同9.44%減、ドイツ向けが同32.89%減、ベルギー向けが同14.40%減と、いずれもマイナス成長となった。
 第2四半期に入っても米国での需要は成長を持続したが、中国での需要は大幅に減退。また欧州における台湾からの調達も大きく減少しており、台湾動力工具産業の同期輸出額はマイナス成長に陥ったとみられる。

3.業界主要メーカーの動向
 台湾動力工具産業が主要市場とする米国において不動産市場の景気が上向き、製鎖業、木材加工業、バス・トイレ設備業、リフォーム業における需要が高まっていることから、同国で台湾からの動力工具輸入需要も増えている。これにより当産業の主要メーカー、鑽全実業(BASSOインダストリー)の2015年1〜5月連結売上高は前年同期比12.48%増の14億2,300万台湾元、力肯実業(DE POAN PNEUMATIC)も同29.02%増の2億8,600万台湾元と大幅な成長を見せた。ただ力山工業(REXON INDUSTRIAL)は4〜5月に大幅な減収を記録したことから、1〜5月連結売上高は11億8,200万台湾元にとどまり、同7.02%減となった(表2参照)。



 なお力山工業は2015年1~3月連結売上高ではプラス成長を維持し、かつ粗利益率も顕著な上昇を見せたことから、同期純利益は前年同期比73.19%の大幅増となった。また力肯実業も同期純利益は同27.97%の成長を記録。鑽全実業は為替損失を計上したことで営業外収支が赤字に陥り、同期純利益は前年比81.73%の大幅なマイナスとなった。

二.今後の展望

 今年下半期、米国では経済成長が続き、自動車販売台数も引き続き増加、不動産景気もさらに好転するとみられ、台湾動力工具産業の米国向け販売増を後押しすると期待される。一方、中国の経済成長鈍化が台湾製動力工具需要の減退につながると同時に、ギリシャの債務問題による欧州経済への影響も当産業の輸出に不利に働く見通しだ。さらに台湾でも株式市場の不調が自動車販売の低迷や不動産市場の購買意欲低下を引き起こし、動力工具の需要にダメージを与える可能性があり、当産業の2015年下半期の販売額は前年比マイナス成長が予測される。

 2015年に入って以降、中国鋼鉄(CSC)の鉄鋼製品オファー価格が顕著な下落を見せており、メーカー各社の原材料コストの軽減につながっている。今年下半期、CSCのオファー価格は安定を取り戻すとみられるものの、依然低水準を維持する見通しとなっているほか、米国が利上げを実施する可能性が高いことから、米ドル相場の上昇およびアジア通貨の同時安を引き起こすと予測され、台湾元相場も下落圧力にさらされるため下半期、動力工具メーカー各社の粗利益率は上昇が続くとみられる。ただ、連結売上高は減少し、中国投資も損失を計上する見通しとなっており、各社純利益の年成長率は縮小する可能性が高い。

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