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【ワイズリサーチ】台湾金型産業の分析と展望——
2015年第2四半期


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2015年9月17日

機械業界 金型

【ワイズリサーチ】台湾金型産業の分析と展望——
2015年第2四半期

記事番号:T00062912

一.2015年Q2概況

1.産業概況
 2015年第2四半期、台湾金型産業の生産額は140億1,000万台湾元で前年同期比3.5%減、前期比1.6%増となる見通しだ。台湾市場の需要規模は約100億9,000万台湾元で、前年同期比5.0%減、前期比5.7%増であった。また金型製品の輸入額は前年同期比5.3%減の11億5,000万台湾元、輸出額は同3.1%減の50億7,000万台湾元であった(表1参照)。



 2015年第2四半期の主要輸出相手国上位3カ国は中国、タイ、米国で、前年同期比では中国は成長を維持したが、タイと米国はそれぞれ同11.9%減、7.2%減となった。またインドネシアとインドもそれぞれ同15.9%減、34.1%減であった。製品別に見ると、モールドベースおよび鉱物性材料用モールドの輸出額はそれぞれ同22%減と87%減となった。タイは台湾製モールドベースの輸入量が前年同期比で109%減少している一方で、シンガポールと日本からのモールドベース輸入量を増加させている。また台湾のマレーシアに対する鉱物性材料用モールドの輸出額は同98.9%減となったが、韓国の同製品の対マレーシア輸出額は同66%増となっている。


2.メーカーの動向
 北米自動車業の景気回復により、自動車部品大手の東陽実業(トンヤン・グループ)の上半期連結売上高は7億2,900万台湾元で前年同期比17%増となった。主な要因は、中国におけるOEM(相手先ブランド名製造)受注と、北米アフターマーケット(AM)市場における売上高の増加だ。北米自動車市場の需要回復は、自動車部品メーカーのAM市場における売上高の追い風となっている。東陽実業の直近6カ月間の決算によると、連結税引前利益は7億2,900万台湾元でEPS(1株当たり利益)は1.15台湾元であった。東陽実業の売上高は、中国自動車産業の6大グループとの投資事業により安定して成長してきた。さらに今年に入って東陽襄陽工場、東陽仏山工場が稼働開始したことも、全体の収益率を高めた。またOEM事業では、金型、電気めっき、新技術の研究開発を進め、中国自動車市場における競争力の維持を目指している。

二.Q2重大トピック
 TPP加盟は台湾金型産業の海外市場開拓にメリット
 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加盟について各業界の共通認識を形成するため、経済部国際貿易局(国貿局)は各産業の同業者団体の理事会、監事会、会員総会などを通じて、TPP加盟が産業にもたらす影響と政府の推進方針を説明してきた。2015年7月23日、国貿局・多国間貿易チームの鄭錦松副チーム長は、台湾地区模具工業同業公会が開催した中部座談会に出席し、TPPと東アジア地域包括的経済連携(RCEP)加盟協商の進捗、台湾政府の準備状況について説明を行った。14年、台湾金型製品のTPP加盟国への輸出額は1億4,800万米ドルで輸出総額の26.77%を占め、このうち、米国、日本、ベトナム、マレーシア、メキシコが主要輸出先である。主要輸出相手国が関税を引き下げれば、台湾の輸出にプラスとなる。その他TPP加盟国であるオーストラリアやチリの金型製品における関税項目の平均関税率は5%と6%であるため、TPP加入が実現し、ゼロ関税となれば海外市場開拓の後押しとなるだろう。

三、今後の展望
 2015年第2四半期における台湾金型産業全体の業績では輸出額に衰退の兆しが見え、とくに輸出相手国のうち米国、タイ、インドネシア、インドは最も著しかった。これは日本円安が間接的に台湾のミドル~ハイエンド金型製品の輸出に影響を与えているためである。また、韓国金型産業が輸出を強化し、各国とゼロ関税協定を締結したことは台湾金型産業の輸出に大きな衝撃を与えている。以上2つの要素はこれからも台湾の輸出貿易に影響し続け、その時間が経てば経つほど影響も大きくなる。現在、TPP加盟は金型産業全体の希望であり、政府が地域経済体に加わることは台湾金型製品の国際市場における価格競争力を高め、本産業が世界のサプライチェーンにおけるポジションを確固たるものにするために重要なことである。

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