ノートパソコン(ノートPC)受託製造業界の、広達電脳(クアンタ・コンピュータ)、仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)、緯創資通(ウィストロン)の大手3社は8月、いずれも前月比で減収となった。仁宝は8日の業績説明会で欧米市場の需要が弱かったことを原因に挙げたが、広達と緯創は「7月の出荷が高水準だったことの反動」という見解で、今後の業績についても、通年出荷台数の下方修正を行った仁宝とは逆に楽観的な見通しを示している。10日付工商時報などが報じた。
最大手、広達が9日発表した8月の連結売上高は613億4,600万台湾元(約2,082億円)で、前月比5.8%減少。1~8月の売上高は前年同期比19.9%増の5,291億4,000万元となった。台湾本社のみの売上高は597億4,800万元で、前月比5.5%減。1~8月の累計売上高は前年同期比20.18%増の5,159億8,800万元だ。
前期比で減収となったことについて同社は、「7月出荷が多かったことの反動で、市況は主要な原因ではない」と説明している。8月の出荷台数は310万台で前月比7%減となったが、この数値も予測の範囲内だという。
第3四半期の見通しについて広達は、出荷台数は前期比15~20%増の1,000万~1,044万台を予測。第4四半期は25%増の1,300万台に達する可能性もあるとした。業界2位の仁宝は、通年の出荷台数目標を年初当時の3,200万台から2,800万~2,900万台へと約10%の下方修正を行ったが、広達は「通年4,000万台の目標に変更はない」と強調した。
仁宝の8月の出荷台数は約200万台で、前月の約230万台から13%前後の減少。1~8月の連結売上高は2,720億7,700万元で、前年同期比2%減となっている。同期の売上高が前期比でマイナスとなっているのは、業界で仁宝のみだ。仁宝の伸び悩みは、大口顧客であるデルの業績不振の影響とみられている。
緯創、エイサー新機種を出荷
緯創の8月連結売上高は前月比8%減、前年同月比28.42%増の344億8,100万元となった。1~8月の連結売上高は前年同期比56.45%増の2,508億3,000万元。
同社は8月の減収理由について、7月にデルとヒューレット・パッカード向けの出荷が大きく増えたことの反作用としている。出荷台数は7月が230万台、8月は200万台だった。また、9月は宏碁(エイサー)向けに新機種の出荷を開始することにより、引き続き増加するとした。
英業達、売上2倍増
一方、業界4位の英業達(インベンテック)の8月売上高は、新規受注の効果により、前月比14.66%増で過去最高の363億元となった。昨年8月の183億元からは、ほぼ2倍近い伸びだ。