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金融不安回避へ、中銀が預金準備率引き下げ


ニュース 金融 作成日:2008年9月17日_記事番号:T00010309

金融不安回避へ、中銀が預金準備率引き下げ

 
 米国の金融危機による台湾市場への影響を軽減し、金融不安を回避すべく、中央銀行は16日、民間銀行の預金準備率を普通預金で1.25ポイント、定期預金で0.75ポイント引き下げると発表した。これにより2,000億台湾元(約6,550億円)規模の資金を市場に供給できるとしている。金融不安の懸念に「受け身でなく積極的に」(彭淮南中銀総裁)取り組むことで、当局の素早い対応をアピールした形だ。17日付経済日報などが報じた。
 
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預金準備率引き下げを発表する彭淮南中銀総裁。「銀行が満足するまで資金を供給する」と強調した(中央社=16日)
 
 預金準備率は、金融機関が保有する預金額に応じて一定の割合を中央銀行に預け入れる準備預金制度で、預け入れる金額の率を指す。中銀はインフレがピークだった今年6月末、物価上昇の抑制を目的に預金準備率を引き上げている。今回の引き下げは2001年1月以来、7年8カ月ぶりだ。

 中銀は16日午前、域内各銀行に米ドルの需要を確認し、利率5.4~5.5%で合計35億9,000万米ドルのコール資金融資も行った。利率はアジア市場で最も低いという。
 
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公定歩合、25日に協議
 
 引き下げが観測された公定歩合については今回、変更の発表はなかった。彭総裁は、▽先週末に襲来した台風が物価を上昇させる可能性がある▽物価を考慮した「実質利率」がいまだ低い──ためと指摘しつつ、25日の理事監事会議で協議する必要があると語った。

南山人寿に電話殺到、解約100件
 
 米連邦準備理事会(FRB)は米国時間16日、証券大手、リーマン・ブラザーズの破綻(はたん)で資金繰りが悪化した保険最大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)に対する、最大850億米ドルの融資を承認した。政府が株式79.9%を取得する。

 AIGは米国時間17日までに750億米ドルの資金を準備できないと、破産申請を余儀なくされる可能性があると米ウォールストリート・ジャーナルが報じていた。こうしたことから、AIGが95%出資する台湾の生命保険大手、南山人寿保険では16日、契約者からの問い合わせの電話が殺到した。契約の解約件数は1日で100件に上ったと17日付自由時報は報じている。

 行政院金融監督管理委員会(金管会)の黄天牧保険局長は16日、南山人寿、およびAIG傘下の台湾アリコ(米国人寿)、友邦産物保険の3社共に、契約を正常に履行することが可能で、財務状況にも問題はないという見解を表明した。

馬総統、冷静な対応呼び掛け
 
 馬英九総統も16日、昨今の経済、金融情勢は「想定外」としつつも、「われわれは必ずやこの試練を乗り越えることができる」と語り、住民に冷静さを保つよう呼び掛けた。台湾経済のファンダメンタルズは依然良好で、消費者物価(CPI)上昇率は日本に次いでアジアで2番目に低く、国際原油価格も総統就任当時の水準に戻っていると指摘した。