ニュース 農林水産 作成日:2022年6月23日_記事番号:T00103225
中国当局が13日から禁止薬物の検出を理由に一方的に輸入を一時停止した台湾産の養殖のハタ(石斑魚)について、蔡英文・総統は22日、福島県の水産養殖業者が「民主主義の魚」を食べて台湾を応援しようと声を上げており、日本輸出に協力する見通しだと語った。スーパーマーケット最大手、全聯福利中心(PXマート)の林敏雄・董事長は、域内市場で消費が必要な台湾産のハタは今年1600トンの見通しで、全聯が3分の1弱に当たる500トンを調達すると表明した。ハタ養殖業者に、相次いで支援の手が差し伸べられた形だ。23日付自由時報などが報じた。
林・董事長(左)は販促イベントで、蘇貞昌・行政院長(右)や陳吉仲・行政院農業委員会(農委会)主任委員(右2)とハタ料理を作り、消費者に台湾産ハタのおいしさと安全性をアピールした(22日=中央社)
蔡・総統は、台北南港展覧館で同日開幕した食品の国際展示会、台北国際食品展(2022フード台北)のあいさつで、政治的要因で食品の輸出が停滞したことはこれまでにもあり、中国による一方的な台湾産ハタの輸入停止はその一例だと指摘した。これに対して、日本など台湾と民主主義の価値を共有している多くの国際パートナーが、台湾の漁業従事者の支援を表明しており、困難を乗り越えられると信じていると話した。
米台接近が年々進む中、中国は昨年、▽豚肉、▽パイナップル、▽バンレイシ(釈迦頭)、▽レンブ──の輸入を停止するなど、畜産物や農産物の貿易をカードに台湾に圧力をかけているとされる。
ハタの調理済み食品販売へ
全聯の林・董事長は、全聯のハタの昨年販売量は90トン、売上高は3500万台湾元(約1億6000万円)だったと指摘した。今年の調達量は、従来予定していた200トンから500トンに引き上げると話した。
林・董事長はまた、ハタの生産量のピークは7~8月で、7月22日にハタの頭部を使用した鍋料理「龍虎斑沙鍋魚頭」を発売する予定と説明した。ハタの頭部は体全体の30%と大きく、調理が難しいことから、頭部は鍋料理に加工して、他の部位は切り身として、全県市の1100店舗で販売する。
林・董事長は、加工済みのハタの販売増を見込み、加工設備に投資すると述べた。台湾産のパイナップルやバンレイシの調達を昨年増やしたことに関連し、カット済みのパイナップルの販売が好調で、販売量が10倍に増加した店舗もあったと指摘した。
全聯は昨年、パイナップル1万トンを調達し、販売量が30%増加した。バンレイシの一種、アテモヤ(パイナップル釈迦)の販売量は576トンへと10倍以上に増えた。
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