BNPパリバは18日発表の産業リポートで、ブームとなっている低価格ノートパソコン(ネットブック)について、台湾メーカーでは強力な販売チャネルを持つ宏碁(エイサー)が最も有望という見方を明らかにした。また、低価格ノートの今後の成長の鍵として、通信キャリアとの提携による販売チャネル開拓を挙げた。
同リポートによると、低価格ノートの世界全体の出荷台数は2008年の1,100万~1,200万台から、10年にはノートパソコン(ノートPC)市場全体の13%に当たる2,800万5,000台まで急成長(年平均成長率60%)し、市場規模は90億米ドルに達する。
ASUSを急追
宏碁(エイサー)が6月に発売した「Aspire One(アスパイア・ワン)」は、9月の出荷台数が100万台を超えるとみられる。今年500万台を目標とする華碩電脳(ASUS)の「Eee PC」にわずか半年間で並ぼうと、急速な追い上げを見せている。エイサーは現在2、3社の欧州通信キャリアと交渉中とされ、8月には提携による「0元パソコン」発売という観測も流れた。今後10インチ画面機種や3G(第3世代)無線カード内蔵機種が発売されれば、さらに出荷台数を伸ばすとみられる。 エイサーの王振堂董事長は、ノートPC市場に占める低価格ノートの割合は来年15~20%まで拡大し、Aspire Oneの来年の出荷台数は1,500万台に達するという楽観的な見通しを示している。
一方、上半期170万台だったASUSのEee PC出荷台数は第3四半期、150万~180万台の目標達成はほぼ間違いないとされる。来年は、初期見通しでは少なくとも業界の成長平均を上回るとしている。また、同年の通信キャリアとの組み合わせ販売は、Eee PC出荷全体の10~20%を占める見込みだ。なお、現在同社は欧州4、5社を含む通信キャリア7、8社と交渉を進めているとされる。
広達が最も積極的
低価格ノートの出現は、ノートPC受託製造メーカーに、出荷台数の増加によって利益率低下を補う効果をもたらす。08年段階では、台湾の大手ノートPC受託メーカーの出荷全体の3~12%を低価格ノートが占めるとみられるが、09年には10~15%まで増加する見通しだ。
中でも元来低価格ノートと似たコンセプトを持つMID(モバイル・インターネット・デバイシズ)市場に強い関心を持っていた広達電脳(クアンタ・コンピュータ)が最も積極的だ。広達が受託しているのはエイサーのAspire Oneのみだが、今年下半期、出荷全体に占める低価格ノートの割合は20%に達している。第4四半期には低価格ノート顧客をさらに1、2社加えるとみられている。
仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)はデルが初めて発売する低価格ノートを受託した。下半期の同製品出荷台数は、同社全体の約5%を占める70万~80万台が予想されている。同社によると。09年は出荷全体の10~15%に当たる380~400万台に成長する見通しだ。
緯創資通(ウィストロン)では、08年段階の低価格ノート出荷は210万台、09年は19~33%成長して出荷全体の10%に当たる250万~280万台に達すると予測している。