ノートパソコン用タッチパッドモジュールとタッチスクリーンIC設計の世界最大手、義隆電子（ELANマイクロエレクトロニクス）は3日の業績説明会で、ファウンドリーとの3年の長期契約（LTA）を解除すると発表した。違約金を第4四半期（10～12月）に営業外損失として計上する。業界の観測によると、違約金は数億台湾元（1円＝約4.6円）に上るようだ。業界では、契約相手はファウンドリー大手、聯華電子（UMC）との観測が浮上している。自由時報電子版などが伝えた。

　ELANは、長期契約を解除するファウンドリーの社名を明らかにしなかった。長期契約を解除する理由は、消費者の購買意欲が弱く、今年はグーグルのOS（基本ソフト）「クロームOS」搭載ノートPC「クロームブック」向けの受注が前年の半分しかなく、在庫消化のペースが予想以上に遅いためと説明した。

　葉儀晧・董事長は、クロームブックは顧客の在庫調整が来年第1四半期（1～3月）か、第2四半期（4～6月）までかかる可能性があると語った。マイクロソフト（MS）のWindows（ウィンドウズ）OS搭載製品の在庫調整は、今年末でほぼ終わると指摘した。

　ELANは、ノートPC用タッチパッドモジュールとタッチスクリーンICの世界市場シェアがそれぞれ50～70％。主に55ナノメートル以降の成熟製造プロセスを採用している。

　年次報告書によると、UMCが最大の生産委託先で、今年第1四半期（1～3月）は7億900万元と、全体の29.17％を占め、21年と比べ6.51ポイント上昇した。ほかに、▽台湾積体電路製造（TSMC）、▽TSMC傘下の世界先進積体電路（バンガード・インターナショナル・セミコンダクター、VIS）、▽韓国のキーファウンドリー──などに生産を委託している。

　市場調査会社、集邦科技（トレンドフォース）は2日、今年のノートPC世界出荷予測は1億8900万台で前年比23％減少し、23年は1億7600万台で6.9％減少すると発表していた。

違約金計上でQ4赤字か

　ELANが同日発表した第3四半期（7～9月）の連結売上高は28億1900万元で、前期比32.0％減少、前年同期比43.3％減少した。粗利益率は46.5％で、前期比1.1ポイント下落、前年同期比4.5ポイント下落した。純利益は前期比33.4％減少、前年同期比61.7％減少の5億2200万元で、2020年第2四半期以降で最も低かった。

　ELANは、第4四半期の連結売上高は前期比36.2～29.1％減少し18億～20億元と、19年上半期の水準に戻ると予測した。粗利益率は45～47％と、前期並みの見通しだ。ファウンドリーとの長期契約解除で営業外損失を計上するため、小幅な黒字か赤字になると予測した。

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