9月のノートパソコン(ノートPC)世界シェアに大きな入れ替わりが見られるもようだ。宏碁(エイサー)の王振堂董事長は、「欧州からの受注増に加え、低価格ノートPC(ネットブック)『Aspire One』人気により、9月の販売台数は米ヒューレット・パッカード(HP)を超え、単月で世界首位に立つ」との内部見通しを明らかにした。実現すればエイサーにとって初の世界シェア1位獲得となる。30日付工商時報が報じた。
証券会社予測によると、エイサーは9月、主流ノートPCの販売台数が昨年11月に記録した380万台の過去最高記録を上回る見込みだ。さらに「Aspire One」の受注が既に100万台を突破していることから、ネットブックを含む同月のノートPC全体の販売台数は500万台を超え、台湾のノートPCブランドとしての新記録をたたき出すとみられる。
王董事長は、「市場調査機関は単月シェアの調査を行っておらず、これ(シェア1位獲得の見通し)は市場から得た当社内部の感触」としながらも「可能性は高い」と語った。しかし同時に、「相手(HP)は3~5カ月で立て直し王座に返り咲く。今回の首位は短期的なもので、『2011年までに安定した世界最大手の座に就く』という目標は変わらない」と強調している。
ネットブックでも首位へ
シェアが伸びた理由について王董事長は、▽HPなどが欧州市場で値上げを実施したことにより、発注が大量にエイサーへと流れた▽IDCなどの市場調査機関が、人気となっているネットブックをノートPCに含めて統計を取るようになり、HPとの差が一気に縮まった──の2点を挙げた。
同社の「Aspire One」は第3四半期、販売台数が200万台を超えるとみられ、来年1月には10インチ型の発売も予定していることから、今後ネットブックシェア首位の華碩電脳(ASUS)「Eee PC」を超える勢いを見せている。
ワールドリソースを有効活用
またエイサーでは、昨年買収したゲートウェイ、パッカードベルの整理・統合作業が予想より進んでいるとされ、今後合併効果が期待される。先日ハンガリーの首都ブダペストで年度記者会見を行ったジャンフランコ・ランチ同社総経理は、「今後は多ブランド戦略を進めるほか、今年世界マーケティング総本部を設置し、全世界のマーケティングリソースを統合して有効に活用する」と宣言した。