ニュース 政治 作成日:2022年11月27日_記事番号:T00106115
26日投開票の統一地方選挙の21県市(嘉義市は12月18日に延期)の県市長選で、与党民進党は、台南市と高雄市など4県市を死守したものの、北部3市の首長ポストを失い、現在の7県市から5県市に減らした。結党以来36年で最も少ない。一方、最大野党の国民党は、激戦区だった台北市と桃園市を含む13県市の首長ポストを獲得した。民進党の主席(党首)を務める蔡英文・総統は同日、党主席の職を引責辞任すると表明した。27日付聯合報などが報じた。
蔡・総統(左)は、選挙結果は予想通りではなかったと述べ、深々と頭を下げて謝罪した(26日=中央社)
中央選挙委員会(中選会)によると、県市長選の政党別の得票数は、▽国民党、570万1977票(得票率50.03%)、▽民進党、474万3468票(41.62%)、▽台湾民衆党、16万9459票(1.49%)──などだった
人口の7割が集中する6直轄市選の投票率は59.86%と過去最低だった。その他の県市長選の投票率も64.2%と、前回18年と前々回14年を下回った。
嘉義市長選挙は12月18日に行われる。県市長の就任日はいずれも12月25日。
台湾民衆党、2人目の市長誕生
民進党は、台南市と高雄市のほか、嘉義県と屏東県を守り、離島の澎湖県を獲得した。桃園市と基隆市は8年ぶりに国民党に明け渡し、新竹市も台湾民衆党に奪われた。
国民党は、首都機能を有する台北市を2期8年ぶりに台湾民衆党主席の柯文哲氏から取り戻した。首長ポストは計13県市(▽台北市、▽新北市、▽桃園市、▽基隆市、▽新竹県、▽台中市、▽彰化県、▽雲林県、▽南投県、▽宜蘭県、▽花蓮県、▽台東県、▽連江県──)と、現在の14県市から減らした。
台湾民衆党は、公認候補の高虹安・立法委員(38歳)が新竹市長選で初当選した。新竹市長で過去最年少、初の女性市長だ。台湾民衆党の19年結成以来、柯文哲・台北市長に続く首長ポスト獲得となった。
無所属2人も当選した。苗栗県長選は、国民党を離脱して出馬した無所属の鍾東錦・苗栗県議会議長(59歳)が当選した。金門県長選は、14~18年に金門県長を務めた無所属の陳福海氏(59歳)が当選した。
民意は対中政策より内政
蔡・総統は選挙運動期間中、中国共産党の第20回全国代表大会(党大会)開催後初の台湾の選挙で、全世界に正しいメッセージを伝えようと訴えた。民進党のスローガン「抗中保台(中国に対抗し台湾を守る)」で、対中政策を争点に移し、票を取り込む狙いがあったが、地方政治の統一地方選挙では有権者の心に響かなかった。
蔡・総統は26日夜の記者会見で、選挙結果は市民の決定で、真摯に受け止めると述べ、全ての責任を取り、民進党主席を即日辞任すると表明した。代理主席は11月30日の民進党中央常務委員会で推薦する予定で、再選した現職の陳其邁・高雄市長(57歳)の名が挙がっている。24年1月の総統選挙まで残り1年余り。民進党の総統候補は、頼清徳・副総統(63歳)が有力だ。
総統選まで残り1年
国民党の朱立倫・主席(61歳)は同日、国民党だけの勝利でなく、台湾の人民と民主主義の勝利であり、緑(民進党陣営)以外の陣営の勝利だと述べた。
朱・主席(左)は、蔡・総統に対し民進党の主席に明け暮れず、残り1年半の任期は総統を全うすべきだと述べた(26日=中央社)
国民党は、インフレや住宅価格の高騰で市民の民進党への不満が募る中、台湾のワクチンメーカー、高端疫苗生物製剤(メディゲン・ワクチン・バイオロジクス)の新型コロナウイルス感染症ワクチン調達など、蔡政権の疑念を槍玉に挙げるなどして有権者の不信感をあおり、批判票を取り込んだ。現職の侯友宜・新北市長(65歳)、盧秀燕・台中市長(61歳)らは安定した市政の実績を押し出して再選した。国民党の総統候補には朱・主席のほか、党内では、侯・新北市長や盧・台中市長の名が挙がっている。
台湾民衆党の主席、柯・台北市長も総統選に出馬するか注目されている。
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