不動産仲介大手、永慶房仲集団の統計によると、台北市の9月の中古住宅物件の成約価格平均は、1坪当たり30万台湾元を切り、4年ぶり最低の29万8,000元(約98万円)となった。同価格は、馬英九総統就任前後の4、5月をピークに下がり続けており半年間で約8万元(20%)の下落となった。9月は世界的な金融不安など経済情勢の悪化に加え、相次ぐ台風の襲来が不動産の購入意欲を削いだとみられる。2日付工商時報などが報じた。
同統計によると9月の成約価格平均は、都市交通システム(MRT)橘線開通などが好材料となり前月水準を維持した高雄市以外は、大台北地区(台北県市、基隆市)で前月比10%下落の1坪24万元、台中市でも前月比7%下落し1坪8万元となった。また成約件数も両地区ともに約20%減少した。
住商不動産の陳錫?総経理によると、不動産市場では既に資金繰りの悪化から販売価格を下げる売り手が増えており、都市中心部で5~10%、郊外や不動産の余剰圧力の高い地域では10%の提示価格引き下げがみられるという。
また米ERA不動産の張欣民コンサルタントは、「台北市の住宅価格はこれまで5年間上昇を続けており、景気循環からみて今後2、3年をかけて20~30%下落する」と予測している。
「SARSの時より悪い」
台湾では9月28日以降の一定期間が伝統的に住宅販売の需要期とされるが、ちょうどこの時期に台風15号の来襲が重なり、長引く景気低迷に追い討ちをかけた。「新型肺炎SARSが発生した2003年よりも悪い」と、ある業者は不振にため息をつく。
こうした状況を受け、不動産仲介業者の業績も悪化している。大手の信義房屋は5カ月連続で売上高が減少し、9月分は赤字寸前の状態にまで落ち込んだ。そのほか、台湾房屋、永慶房屋、住商不動産などでも同様に取引額、件数ともに縮小し、個別店舗では取り扱いがゼロ件だったところも少なくないという。
開発案も縮小
また、遠雄集団が1日、今年の不動産建設計画への投資を当初予定していた360億元から300億元への下方修正を表明したように、住宅市場の急激な冷え込みは、開発業者にも影響を及ぼしている。
住宅専門誌「住展雑誌」が同日発表した調査報告によると、今年台湾3大都市圏におけるプロジェクト費用の総額は、既に1兆4,000億元から1兆1,000億元に下方修正されているが、さらに来年09年は9,400億元まで14.5%縮小し、過去3年間の最低となる見通しだ。