いったんは安全とされていたネスレの粉ミルクが、再び販売停止に追い込まれた。行政院衛生署と高雄市衛生局が2日、ネスレの中国で生産された6製品から微量のメラミンが検出されたと発表したことで、同社の中国製20製品すべてが回収され、店頭から姿を消した。3日付蘋果日報などが報じた。
本当に安全なのはいったいどの製品なのか、消費者の疑念は募るばかりだ。台北県のある大型売り場では、衛生局の担当者がネスレ製品の撤去作業の確認を行った(2日=中央社)
葉金川衛生署長によると、問題の6製品はすべて中国黒龍江省で製造されたもので、0.06~0.854ppmのメラミンが検出されたという。これは9月24日に衛生署がいったん定めた基準の2.5ppmを下回るものの、同署は10月1日からは高感度の検査機器が検出できる最低値0.05ppmを新基準とみなしており、これをわずかに上回ったため、ネスレに対しすぐに販売を停止するよう要求した。
ネスレの関連製品は先月17日、衛生署が中国製乳製品の販売の全面禁止措置をとった時点でいったん販売禁止となったが、同社が同日夜、食品工業発展研究所の検査による証明を提示し、直ちに販売が再開されていた。
台湾ネスレは2日緊急声明を発表し、「製品にメラミンを添加することはない。検出されたメラミンは自然界に存在するもので、安全に問題はない」と強調した。同社の粉ミルクの域内シェアは成人用で40%、乳幼児用では10%。今回の事件では域内で少なくとも10億台湾元(約33億円)近い損失を計上すると予想している。