ニュース 運輸 作成日:2008年10月3日_記事番号:T00010683
台湾高速鉄路(高鉄)は11月1日から、台北~高雄の片道運賃を、オフピークの最も安い時間帯で965台湾元(約3,160円)とするキャンペーンを開始する。台湾鉄路(台鉄)の特急自強号と比べて、所要時間が約3分の1でありながら運賃はわずか120元高いだけとなり、強い競争力を発揮するとみられる。西部の航空路線を壊滅状態に追い込んだ今、高鉄は台鉄の乗客を奪うことを次の目標に定めたようだ。3日付中国時報などが報じた。
キャンペーンを記念したケーキ。ブルーとオレンジで2種類の割引を表している(3日=中央社)
台鉄との運賃差、わずか120元
オフピーク割引は指定席を対象に土日を含めて行われ、時間帯によって35%引き(台北~高雄:965元)と15%引き(1,265元)の2種類がある。自由席は終日7%引き(1,385元)で、オフピーク適用の時間帯であれば、指定席のほうが運賃が安くなる。また、ビジネスクラスは終日20%引き(1,950元)だ。キャンペーンは少なくとも来年1月まで続けられる。
高鉄の賈先徳副総経理は今回のキャンペーンの目的について、「まだ高鉄に乗ったことのない利用者層」のニーズを掘り起こすことと明言している。割引対象となるオフピークの時間帯の乗客数25%増、1日当たりの延べ乗客数を10万人台に乗せることが目標だ。
高鉄は昨年末に自由席を導入し、乗客数25%、売上高15%の成長を果たした。今年3月からは月~木曜に▽ビジネスクラス、36%▽指定席、20%▽自由席28%──の割引を実施し、乗客数で20%、売上高で10%の成長を実現するなど、これまでのキャンペーンでは実績を挙げてきた。
すみ分けで対抗
高鉄の台北~高雄の最低運賃が1,000元を割り込むことについて中国時報は、「台鉄に対する殺傷力は極めて大きい」と報じている。
范植谷台鉄局長は、「高鉄は平日と休日、オフピークとピーク時で細かく運賃を分けている。これは一つ一つの座席の価格まで計算する手法で、ここまで細かい手を打ってくるとは思わなかった」と驚きを隠さない。台鉄は切符の販売や運行システムが複雑で、とても高鉄ほどの細かい設定はできないという。
台鉄は対抗策として、西部幹線の長距離列車の割引を検討する一方、高鉄が停車しない駅に停まる自強号を増やしたり、中短距離路線を強化することを含め、市場のすみ分けで対抗していく考えだ。
華信、運航停止を再申請へ
なお、航空会社で唯一台北~高雄を週3便で維持している、華信航空(マンダリン航空)は、これ以上赤字運航を続けていけないとして、今月末に交通部民用航空局に運航停止を再度申請する予定だ。
高速バスの統聯客運も、高鉄の割引発表に対し、「交通部はわれわれにはっきり撤収を命じ、まとめて『告別式』を行えばいい」と語るほど衝撃を受けているようだ。高速バスの台北~高雄は380~710元と価格は安いが、時間は高鉄の4倍、6時間もかかる。一方、不景気でとにかく安さを重視する顧客層は存在するため、高速バスへの影響はそれほどでもないという見方もある。
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