ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

半導体業界、来年の資本支出を圧縮へ


ニュース 電子 作成日:2008年10月6日_記事番号:T00010715

半導体業界、来年の資本支出を圧縮へ

 
 半導体業界で、世界的な不景気を受けて来年の資本支出がさらに圧縮されるという観測が出ている。ファウンドリーでは聯華電子(UMC)が、今年比で最大33%の削減になる可能性があるという。今年8月に来年の半導体設備市場の20%成長を予測していた国際半導体製造装置材料協会(SEMI)は、近く「5%成長~10%縮小」へと下方修正する予定で、マイナス成長をも見込んでいる。6日付蘋果日報が報じた。

 
T000107151

 
 UMCの今年の資本支出は約6億米ドルで、来年は4億~5億米ドルの水準が予想されている。4億米ドルまで縮小した場合、マイナス幅は33%となる。外資系証券会社によると、UMCの第4四半期の生産能力利用率は前期の約80%から60%まで低下し、12月には12インチウエハー工場の生産能力で平均利用率が45%まで落ち込む見通しだ。このため第4四半期の売上高は、最悪のケースで前期比25%減少し、来年第1四半期にはさらに8%低下する恐れがある。
 
 UMCは先週、子会社の株式など金融資産の含み損32億2,000万台湾元(約105億5,000万円)を減損処理すると発表。これにより通年業績が赤字に転落するため、来年の資本支出削減は確実とみられる。なお、これについて同社では「現段階で言及するのは早過ぎる」としている。
 
TSMCの来年Q1、過去7年で最低に
 
 ファウンドリーでは、世界先進積体電路(VIS)も今年の50億米ドルから来年は40億米ドル水準へ、約2割の資本支出削減が予想されている。
 
 最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は今年、前年比29.6%の資本支出削減を行っているが、来年も同規模の削減を継続するかが業界の関心を集めている。同社は「来年の資本支出計画に関しては、今月末の業績説明会でも明らかにせず、来年1月以降により詳しい情報を提供する」としている。
 
 同社は第4四半期、生産能力利用率が前期の100%から75%に低下し、売上高は前期比で18~25%のマイナスとなる見通し。来年第1四半期の売上高はさらに8%減少し、過去7年で最低水準の業績が予想されている。
 
現金保有を最優先
 
 6日付工商時報では、ファウンドリー業界の来年の世界全体の資本支出を今年比13.3%減の39億米ドルと見積もる一方、DRAMおよびNAND型フラッシュのメモリー分野が減少幅29%と、より大きくなるとしている。域内DRAM業界の主要4社では来年、南亜科技とマイクロン・テクノロジーの合弁メーカー、亜美科技が1基目の12インチウエハー工場で生産を開始する以外は、力晶半導体(PSC)も茂徳科技(プロモス・テクノロジーズ)も新たな生産能力に関する投資計画はない。
 
 瑞昱半導体(リアルテック・セミコンダクター)の陳進興副総経理は半導体業界の当面の見通しについて、「今回の金融危機による半導体産業への影響は実に大きく、危機解決にどのくらいの時間がかかるか誰も断言できない」とした上で、「業界各社は現金を留保することを優先させ、積極的な投資は控えるだろう」と指摘した。