ニュース 社会 作成日:2023年3月15日_記事番号:T00107920
世界4大博物館の一つ、故宮博物院の収蔵品の高画質デジタル画像が無料でダウンロードが可能な状態になっており、中国の電子商取引(EC)サイトなどで安価に販売されていたことが明らかとなった。故宮博物院の黄永泰・副院長は14日、昨年6月に流出が発覚し、最大10万件が流出した可能性があると語った。陳建仁・行政院長は同日、故宮博物院の職員の操作ミスで、サイトへのハッキングではないと説明した。15日付自由時報などが報じた。
故宮博物院を代表する翠玉白菜などの画像も、中国のECサイトに流出していた(故宮博物院サイトより)
故宮博物院は2017年、収蔵品7万件の低画質の画像をオープンデータとして公開し、無料でダウンロードできるようにした。
故宮博物院の黄・副院長によると、昨年6月に立法院からオープンデータ化を拡大するよう求められ、収蔵品40万件の600万画素の画像も公開することになった。数位資訊室(デジタル情報室)の担当者が、高画質の画像の画素数を落とす作業をしていたところ、データ容量が多く、サーバーが満杯になったため、一時的に別のサーバーに移動させた。このサーバーは、外部から高画質の画像を取得できる状態にあった。
故宮博物院は、担当者は最大10万件の画像を取り扱っており、インターネット上を検索した結果、流出したとみられる1000件を発見したと説明した。
自由時報の報道によると、中国のEC大手の淘宝(タオバオ)や検索エンジン最大手の百度(バイドゥ)で、「台北故宮」などのキーワードで検索すると、故宮博物院の収蔵品の高画質デジタル画像700件の一括ダウンロードが、1回当たり5人民元(約98円)足らずで可能だ。無料でダウンロードできる画像もあった。
訴訟も検討
黄・副院長は、昨年6月に高画質の画像の流出が発覚し、8月に調査を開始し、今年1月に調査報告が承認され、2月16日にデジタル情報室の担当者の懲戒処分を決定したと説明した。また、昨年末に画像データのシステム構築が完了し、ダウンロードは申請制に変更した。
故宮博物院は、タオバオなどに対して画像の出品を取りやめるよう求め、知的財産権の侵害で訴訟も検討すると説明した。
再発防止策の不足
故宮博物院はこれまでにも、画像の流出が発生している。
11年には、マーケティング担当の職員らがチベット伝来の仏教法典『龍蔵経』などの画像を盗み出し、中国の業者に渡し、その業者が台湾で10万台湾元(約44万円)で複製を販売する事件があった。
聯合報は、画像流出事件の再発は、故宮博物院が国家の重要データを扱う認識が足りないからだと批判した。
【セミナー情報です】
売上を20年で60倍にした経営者から学んだ、企業成長の秘訣を大公開。ワイズで面白いと思ったIT活用、人事制度、人材育成、経営手法、悪いところも含めてワイズ幹部がお伝えします。3月21日開催。検索は、「ワイズ、企業成長の秘訣」
【セミナー情報の詳細はこちら】
台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。
ワイズコンサルティンググループ
威志企管顧問股份有限公司
Y's consulting.co.,ltd
中華民国台北市中正区襄陽路9号8F
TEL:+886-2-2381-9711
FAX:+886-2-2381-9722