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石油・化学
作成日:2008年10月9日_記事番号:T00010800
台湾中油の第3ナフサプラント、環境評価却下
台湾中油第3ナフサ分解プラント(通称三軽・高雄県林園郷)に関する行政院環境保護署の環境評価大会が開かれ、同プラントの設備更新計画を認めない決定が下された。これにより、同プラントの増産計画はさらに半年から1年程度遅れる見通しとなった。9日付経済日報が伝えた。
同プラントをめぐる環境影響評価は、今年7月31日に第4回審査を条件付きで通過しており、環境評価大会で最終的に認可されると見込まれていただけに、台湾中油側はショックを受けている。
同日の環境評価大会は5時間近くに及ぶ長丁場となり、最終的に沈世宏環境保護署長が「条件付き認可」「第2段階の環境評価手続き開始」「環境評価個別案件グループへの差し戻し」という3案での採決を提案。1回目の投票でいずれの案も過半数に達しなかったため、上位2案による2回目の投票を行った結果、環境評価個別案件グループへの差し戻しが決まった。採決結果は「条件付き認可」6票に対し、「差し戻し」8票だった。
同プラントの設備更新工事は、来年7月にも着工し、2011年の操業開始を目指していた。台湾中油の曹明副総経理は、「投資額は当初見通しの380億台湾元から430億元(約1,332億円)に膨らむと見込まれ、さらに計画が先延ばしされれば、環境保護対策費用も20億元を超える」と懸念を表明した。
台湾中油が提出した環境対策計画は、大気への汚染物質排出量を現在より5~24%削減し、エネルギー消費も40%カットする内容だが、環境保護団体は依然不十分だとして反発している。
台湾では現在年間40万トン余りのエチレンを輸入に頼っており、同プラントの増産に対する期待は大きい。それだけに業界団体の台湾区石化工業同業公会は「政府は石化産業がいらないのか」と強く反発している。今回の決定で、国光石化科技(KPTC)のプラント建設計画や台塑集団(台湾プラスチックグループ)の第6ナフサプラント第5期など8,000億元を超える投資計画の先行きが不透明になった。