家族ぐるみで巨額の資金を海外の銀行口座に送金していたマネーロンダリング疑惑で民進党を離党した陳水扁前総統を支持するか否かをめぐり、民進党内で13日、擁護派と批判派が乱闘騒ぎを起こした。
もみ合う民進党員たち。すべては陳前総統の私欲が発端に見える。リーダーがしっかりしないと組織がしわ寄せを受ける好例だ(13日=中央社)
黄慶林台北市党部主任委員と数十人の支持者が、陳前総統擁護派党員を批判した王拓同党秘書長に不満を唱え、党中央に抗議に訪れたのがことの始まり。
王秘書長の辞任を要求する黄台北市党部主委に対し、対応に当たった洪輝福中央党部副秘書長が、「最初に陳水扁元総統の除名を主張したのは君だったじゃないか」と指摘したことから黄氏が激怒し乱闘になった。
これを受けて蔡英文党主席は13日午後、黄、洪両氏と共に謝罪会見を開催した。「民進党は現在、非常に不安定な状態。我々は団結するしか道はない」と強調し、党員は今後、陳前総統を擁護または批判する活動には一切参加してはならないと命じた。また、陳前総統のマネーロンダリング疑惑に対する個人的な意見の発表や、党内の派閥争いも禁じると宣言した。
しかし、党内からは蔡党主席の煮え切らない態度に不満も出ているようだ。李文忠前立法委員は「蔡主席は今回、陳水扁氏を切り捨てる最もよいチャンスを逃してしまった」と批判。段宜康中央常務委員会(中常会)委員は、「支持者に対し、現在の民進党の価値観をはっきり示すことが重要だ」と陳前総統と一線を画す態度を明確にするよう要求している。
なお、黄氏の処分は15日の中常会で討論される予定で、「善良すぎる」と評される蔡主席の危機対応能力に注目が集まっている。