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中小企業融資、リスク懸念で2カ月連続減少


ニュース 金融 作成日:2008年10月14日_記事番号:T00010876

中小企業融資、リスク懸念で2カ月連続減少

 
 金融危機が世界的な広がりを見せる中、域内金融機関が中小企業や個人に対する融資に慎重になっているもようだ。8月末時点の中小企業に対する融資残高は3兆1,394億台湾元(約9兆8,000億円)で、6月末から2カ月連続で減少。個人による融資申し込みは、拒否される率が約7割にも上っているという。金融機関が信用リスクに敏感になっていることが原因だが、中小企業の倒産増加と失業率上昇を促し、消費低迷を長引かせる悪影響が懸念される。14日付工商時報などが報じた。
 
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 金融機関による中小企業に対する融資残高は今年6月、行政院金融監督管理委員会(金管会)の融資奨励策によって過去最高の3兆1,721億元に達したが、7月、8月と2カ月連続で計327億元(約1%)減少した。これにより域内金融機関の融資全体に占める中小企業向け融資の割合は、6月末の41.99%から8月末は40.39%へと1.6ポイント低下した。減少は2004年7月以来約4年ぶりのことだ。

 これについてある銀行は、「景気が悪いため、中小企業信用保証基金が保証枠を拡大しない限り与信を増やせない。リスクに備えて回収できる融資は回収したい」と説明している。原材料高騰と不景気で体力を落としてる中小企業は多く、「融資を増やせば貸し倒れも増える」という懸念があるようだ。なお、中小企業の延滞債権比率は2.45%で、全体平均の1.53%を上回っている。

低額融資も拒否

 同日付経済日報によると、現在各銀行が真っ先に絞り込んでいるのが個人への信用融資で、20万~30万元程度の融資を受けるのも簡単ではなくなっているという。融資を受けられるのは申請者の約3割で、一部の中小行は個人向けローン業務を完全にストップしたと伝えられる。ある大手行のローン部門の担当者は、「リストラの可能性や経営不安が伝えられた企業であれば、そこの従業員には融資を行わない」と語っている。ただ、現在の状況は、クレジットカード不良債権問題が起きた当時よりは深刻でないと受け止められているようだ。

「台湾の金融システムは安定」
 
 金融機関が警戒感を高める一方、香港カリヨン証券のピーター・サットン台湾区研究部主管は13日、「台湾金融業界には海外資産の投資の損失はあるかもしれないが、資金流動性のリスクはなく、欧米で繰り広げられている大型金融機関の倒産や国有化などの事態が起きるとは考えにくい」という見解を表明した。

 サットン主管によると、台湾は2,810万米ドルの外貨準備高を持ち、域内銀行も外貨による大規模な借り入れを行っていない。中央銀行は台湾元の為替レートを安定させられる豊富な資金を持っており、欧米の金融システムに比べかなり安定していると評価した。

 なお、劉兆玄行政院長も13日、▽豊富な外貨準備高▽20%を超える高い貯蓄率▽台湾の銀行システムは海外とは完全には一体となっておらず、このためファイヤーウォールの効果がある──ことを根拠に、台湾では金融危機は起こらないと力説した。