ニュース 運輸 作成日:2023年5月11日_記事番号:T00108877
10日午後0時27分、台中市南屯区の31階建てマンション「文心愛悦」から、建設現場用のタワークレーンのアームが、台中都市交通システム(MRT)烏日文心北屯線(緑線)の線路上に落下した。その直後、自動運転のためブレーキが間に合わなかった列車がクレーンに衝突し、乗客10人が負傷、1人が死亡した。初期調査によると、クレーン落下はワイヤーの老朽化や、クレーン解体の作業ミスが原因の可能性がある。台中市政府は同日、マンション建設会社、興富発集団(ハイウェルス)に対し、市内9件の建設工事を停止するよう命じた。11日付自由時報などが報じた。
列車は、クレーンに突き破られ、車内に破片が散乱した(10日=中央社)
死亡したのは、静宜大学の助理教授の50代女性。長さ40メートル、重さ3.3トンのクレーンに列車が衝突し、車外に投げ出され、列車の下で死亡していた。カナダ籍男性1人を含む負傷者10人は、頭部や手足に軽傷を負った。
事故現場を調査した土木専門家は、クレーンのワイヤーが断裂しており、重みに耐えられず落下した可能性があると指摘した。
台北市土木技師公会の荘均緯・理事長は、施工業者が規定通りにクレーンを解体していたか検査するべきと語った。
ブレーキ機能せず
列車の発車から衝突までわずか10秒余りだった。乗客は、クレーンが落下したのが見え、停車していた豊楽公園駅を出発しないようにと乗務員が連絡していたが、列車は動き出し、クレーンに衝突したと語った。
台中MRTの運営会社、台中捷運(TMRT)の広報担当者は、列車はクレーンまで200メートルの距離があったが、乗務員が自動運転から手動運転に切り替えるのが間に合わず、ブレーキボタンを押したと説明した。車内にあるブレーキボタンは、停止時はブレーキが効くものの、走行時は次の駅に停車する仕組みだと語った。
また広報担当者は、先頭車両の下部に線路上の障害物を検知して自動停車するセンサーがあるが、今回は上からの落下だったため、反応しなかったと説明した。落下物により線路の電力がショートすれば停車するが、今回の事故では電力システムに異常が生じず、作動しなかった。
台中MRTは11日、一部区間の運行を停止していたが、確認作業が終了し、全線で通常通り運行していると発表した。
5年で重大事故10件
台中市政府は、建築法違反で興富発集団に罰金81万台湾元(約350万円)を科す。盧秀燕・台中市長は、1億元以上の損害賠償を請求する方針を示した。
労働部職業安全衛生署(職安署)は罰金30万元を科した。労働部は、興富発集団は直近5年で重大な労働災害事故が9件発生し、9人が死亡しており、今回の事故を合わせて重大事故10件、死者10人となると指摘した。
興富発集団の廖昭雄・広報担当(中)は10日、遺族や負傷者に謝罪した(10日=中央社)
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