ニュース 医薬 作成日:2023年5月16日_記事番号:T00108955
台北栄民総医院(タイペイ・ベテランズ・ジェネラル・ホスピタル、台北市北投区)は15日、台湾初の重粒子線がん治療センター(HiTC)をオープンした。投資額は45億台湾元(約200億円)。日立製作所が重粒子線がん治療システム一式を納入した。日立にとって、海外で初めて治療を開始する重粒子線がんシステムとなる。治療費は全民健康保険(健保)適用外で90万~150万元かかるものの、訪日して治療を受けるより抑えられ、言葉の壁もなくなると、歓迎の声が上がっている。16日付自由時報などが報じた。
重粒子線がん治療センターと治療室(日立製作所リリースより)
重粒子線がん治療センターは、世界14カ所目。蔡英文・総統は、日本と台湾の医療提携のマイルストーンだと語った。
日立のシステムは、重粒子がん治療センターに設置され、水平・垂直方向から照射可能な治療室を2室備える。また、呼吸に伴って移動する臓器の動きを捉える動体追跡技術と、腫瘍の形状に合わせて重粒子線を照射できるスキャニング照射技術を搭載している。
日立によると、粒子線がん治療は、放射線によるがん治療法の一つ。水素の原子核や炭素イオンを加速器で光速の約70%に加速させ、腫瘍に集中して照射することでがんを治療するもので、水素の原子核を加速したものを陽子線、炭素イオンを加速したものを重粒子線という。治療に伴う痛みがほとんどなく、他の放射線治療に比べて副作用が少ないため、治療と社会生活の両立が可能であり、生活の質(QoL)を維持しつつ、がんを治療できる最先端の治療法として注目されている。
重粒子線がん治療センターの加速器(15日=中央社)
臨床試験12例が完了
台北栄民総医院によると、昨年6月から現在までに▽前立腺がん、▽脊索腫、▽膵臓がん、▽肝臓がん、▽肺がん、▽頭頸部がん──など臨床試験12例が完了した。重粒子線がん治療室2室のうち1室を使用しており、残り1室は下半期(7~12月)から使用する。
重粒子線がん治療は、少なくて1週間に4回、多くて4週間に16回行う。X線治療の約30回と比べ、治療回数が少ない。
昨年5月に臨床試験に参加した肝臓がん患者(74歳)は、1週間に4回の重粒子線照射治療を受け、昨年11月には腫瘍が完全に消失し、再発もしておらず、「投薬も痛みもなく、息をするだけで終わった」と語った。
蔡・総統(左4)や、日本台湾交流協会日本台湾交流協会の泉裕泰・台北事務所代表(右2)が15日、重粒子線がん治療センターのオープン式典に出席した(15日=中央社)
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