ニュース 電子 作成日:2023年6月6日_記事番号:T00109345
ChatGPT(チャットGPT)が巻き起こした生成AI(人工知能)ブームで、エヌビディアのグラフィックスプロセッサー(GPU)需要が急増する中、ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は、先進パッケージング(封止)のチップ・オン・ウエハー・オン・サブストレート(CoWoS)生産能力が1〜2割不足しており、日月光半導体製造(ASE)に委託したようだ。野村証券は、今年のエヌビディアのCoWoS需要は4万5000枚と、当初予測より50%引き上げた。6日付経済日報などが報じた。
半導体設備業者は、エヌビディアとTSMCは当初、今年通年の生産能力や受注を控えめに見積もっていたが、AI用GPUなど高性能計算(HPC)チップ需要が予想以上に増加したため、CoWoS生産能力が不足したと分析した。また設備業者は、TSMCは元々CoWoS生産能力が多くなく、増産するにも設備や部品の入荷に3〜6カ月かかると指摘した。
TSMCは、エヌビディアのAI用GPUを特急案件として生産しており、年末まで受注が満杯で、これ以上引き受けられない状態のようだ。
TSMCとASEはいずれもコメントしていない。
InFO、アップル向けで満杯
TSMCの魏哲家・総裁は、今年の先進パッケージング需要は弱く、今年の売上高の6~7%と予測していたが、ある顧客から電話で、CoWoS発注拡大を求められたと明かした。
CoWoS技術は、TSMCが2012年に開発した、高性能チップ向け高密度パッケージング技術だ。CoWoSを採用しているのは、エヌビディアのほか、▽アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、▽マイクロソフト(MS)、▽グーグル、▽アマゾン──とされる。
TSMCのCoWoSは、▽集積ファンアウト(InFO)、▽CoWoS-S、▽CoWoS-L/R──が含まれる。うちInFOは、アップルがスマートフォンiPhoneなど向けのプロセッサーAシリーズに採用しており、先進パッケージング売上高の8割を占めている。InFOはアップル向けで埋まっており、他の製品に生産能力を振り分けられない状態だ。
CoWoS、粗利益率30%か
TSMCは、CoWoS技術のパッケージング生産能力が顧客の需要を満たせないため、パッケージング・テスティング(封止・検査)最大手で、先進パッケージング技術を備えるASEHに委託することを決めたとみられる。
業界では、CoWoSの粗利益率は20〜30%とみられている。TSMCは通常、粗利益率が50%以上の製品を優先し、CoWoSは緊急受注以外は、外部に委託しているようだ。
一方、ASEは粗利益率が平均14〜15%のため、CoWoSはおいしい話だ。TSMCからのCoWoS緊急受注で、ハイエンド生産ラインの稼働率が急上昇している。
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