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台プラ新時代、4大試練に直面


ニュース 石油・化学 作成日:2008年10月17日_記事番号:T00010966

台プラ新時代、4大試練に直面

 
 台塑集団(台湾プラスチックグループ)創業者で、精神的支柱となってきた王永慶氏の突然の死去はグループに大きな衝撃を与えた。しかし、台プラは既においの王文淵・行政中心総裁を中心とする7人の政策決定チームによる「共同統治」体制に移行しており、当面の実務に影響はないとみられる。だが、同グループには石化産業の世界規模の業界再編や第6ナフサプラント第5期更新計画の膠着(こうちゃく)状態打開など4つの重要課題が待ち構えており、「7人組」の力量が試されることになる。17日付経済日報などが報じた。
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17日早朝、米国から台湾に戻った王永慶氏の遺体は、遺影を抱えた娘の王瑞華グループ副総裁に先導され、長庚大学(桃園県亀山郷)に設置された葬儀場に移された。18日から一般の弔問を受け付ける(17日=中央社)

 王文淵総裁は16日、創業者の死去に衝撃を受ける全従業員に対し「経営責任は既に2年以上前に7人の幹部に引き継がれており、これまでにその重責を担い、グループを安定して発展させ得ることを示してきた」という内容のメールを配信。今後も経営に影響はないと強調した。

第2世代とベテラン幹部が団結

 王永慶氏は2006年、「行政中心」を設置し、▽王文淵総裁(実弟・王永在グループ副董事長の長男)▽王瑞華副総裁(3番目の妻の長女)▽王瑞瑜・総管理処副総経理(3番目の妻の四女)▽王文潮・台塑石化(フォルモサ・ペトロケミカル)董事長(王永在副董事長の次男)──の王一族第2世代と、▽李志村・台塑公司董事長▽呉欽仁・南亜塑膠工業(南亜プラスチック)董事長▽楊兆麟・総管理処総経理──のベテラン幹部からなる「7人組」がグループの経営に対して完全な責任を負うよう指示を出し、経営権の引き継ぎを終えている。

 王永慶氏の死去が同グループに与える影響にについては証券会社からも、「心理的な衝撃だけで、実際の影響は大きくない」、「中長期的な投資計画に変化はない」という見通しが示されている。ただ、徳信証券投資信託の儲祥生総経理は、「これまで同グループの重大な議案は王永慶氏が決定してきたが、今後は7人の同意が必要となるため、新たな投資に対する姿勢は比較的慎重なものになる」と予測している。

業界再編に立ち向かう

 一方17日付工商時報は、「7人組」は今後4つの試練に直面すると指摘している。

 1つ目に、石化産業の世界市場における供給過剰で、中東や中国のエチレンメーカーで生産能力が大幅に拡充される中、今後世界全体の年間生産量は需要の約2倍のスピードで増えると予測され、台プラも業界再編の波に立ち向かうことになる。

 2つ目に、台湾の重要な輸出先である東南アジア諸国連合(ASEAN)市場が、中国、日本、韓国、インドなどと積極的に自由貿易協定(FTA)を締結して関税の撤廃を進めていることで、FTAを結べない台湾は疎外され、同地域での販売が50%を占めるとされる台プラにも影響が懸念される。

 このほかにも、▽第6ナフサ分解工場5期更新計画が環境アセスメントの問題で膠着状態と陥っていること▽ベトナムで進められる大型製鉄所計画の成否──などの問題があり、「7人組」の対応に注目が集まる。