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作成日:2008年10月21日_記事番号:T00011003
反政府デモで陳水扁派巻き返し、民進党中枢に焦り
野党民進党が25日に計画している反馬英九政権デモをめぐり、党中央に一線を画された陳水扁前総統派が巻き返しを図るために大規模動員をかけており、デモは政権批判そっちのけで党内抗争の場と化す可能性が高まった。
21日付中国時報によると、同党の蔡英文主席は20日の会合で、党中央によるデモ動員が進んでいないことにテーブルをたたきながら強い不満を表明したという。同党立法委員は「蔡主席があれほど怒っているのを見たことはない」と話した。陳前総統が各地で動員をかけており、党中央による動員数を上回る勢いを見せていることに蔡主席ら党執行部が焦りを感じていることが背景にある。
そもそも党中央は資金洗浄疑惑で検察の追及を受けている陳前総統とは決別を図る構えだった。しかし、陳前総統は党内での切り捨てムードに対抗すると同時に、かつデモの対象が資金洗浄疑惑の解明に積極的とされる馬英九総統とあって、デモへの参加を強行した。事実上、党中央に反旗を翻した格好だ。
財政的にひっ迫した党中央は以前のように大型バスによる動員などをかけにくくなっていることも事実。このため、同党関係者は「党中央と陳水扁派による綱引きで、デモの目的も変質し、主導権を陳前総統側に握られる可能性がある」と懸念を示した。党中央が今回のデモで主導権を握れなければ、もともとぜい弱とされる蔡主席のリーダーシップに疑問符がつく事態も予想される。