ニュース 電子 作成日:2023年8月2日_記事番号:T00110325
ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の従業員と家族合わせて約900人が1日午前、建設中の熊本工場に向けチャーター便で出発したようだ。熊本工場は9月に完工、2024年4月に生産を開始する予定だ。一方、米国のアリゾナ工場は、設備を搬入するエンジニア不足で、量産開始予定が25年に延期された。サプライチェーン(供給網)の間では、熊本工場が先行しても、TSMCは米国政府の顔を立てるため、アリゾナ工場の完成式典を先に開催するとうわさされている。2日付経済日報などが報じた。
TSMCの広報担当者は1日、熊本工場の進捗は予定通りで、人を順次派遣していると説明した。これまでは乗り換えが必要だったが、今回初めて、中華航空(チャイナエアライン)の直航チャーター便を運航したようだ。
日本メディアによると、TSMCの熊本工場がある熊本県菊陽町は31日、熊本工場の従業員と家族の3分の1に当たる200人が菊陽町で暮らす予定で、多言語の相談窓口を設置したと発表した。
TSMCの公式サイトは7月までに、熊本工場の求人を28件掲載した。優秀な人材を呼び込むため、業界の予想を上回る好条件で募集しており、大卒で初任給28万円の求人もあるようだ。
熊本工場は、12/16ナノ、22/28ナノプロセスを採用し、24年4月に生産を開始し、24年12月から出荷する予定だ。TSMCは、日本政府の補助金を受け、熊本工場の設備投資を70億米ドルから86億米ドルに引き上げ、12インチウエハー月産能力は当初の4万5000枚から5万5000枚に引き上げる。
劉徳音(マーク・リュウ)董事長は6月に開催した株主総会で、日本第2工場について、建設中の熊本工場の近くに設置したいと話していた。顧客の多くが、日本の生産能力が足りないと感じており、先進プロセスでなく、特殊プロセスの方向で検討し、補助金などについて協議中だと語った。
米国工場、補助金やビザがネック
一方、劉・董事長は7月20日の業績説明会で、米国のアリゾナ工場は、4ナノメートル製造プロセスの量産開始時期を従来予定していた24年から25年に延期すると説明した。3ナノは26年に量産開始予定で変わりない。
アリゾナ工場は、設備搬入の熟練エンジニアが不足しており、台湾から500人以上を派遣して支援する。業界関係者によると、台湾から派遣されたエンジニアは、ビザの関係上、設備を操作できず、口頭で指導したり、事前講習で指導することしかできない状況だ。消息筋によると、設備のサプライヤーもエンジニアを多数派遣したが、就労ビザの申請が通らず、口頭での指導しかできていない。
サプライヤーによると、TSMCはアリゾナ工場の供用開始式典を開催してから、熊本工場の完成式典を行う考えだ。米国政府からの補助金などに悪影響が出ないよう、TSMCと日本政府が米国の立場を配慮するためと指摘した。
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