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作成日:2008年10月28日_記事番号:T00011156
海協会副会長への抗議、暴力団が謝罪を強要
中国の対台湾窓口機関、海峡両岸関係協会(海協会)の張銘清副会長が、台湾訪問中の21日、台南市で独立派市民の激しい抗議に遭遇し、転倒した事件が尾を引いている。現場で抗議を先導し、もみ合いの最中に張副会長を突き倒した民進党の王定宇台南市議会議員(38)が、暴力団から張副会長への謝罪を要求され、約4時間にわたって脅された。
事件後、独立派からは英雄扱いされていた王市議だが、23日夜に台北市内の暴力団事務所に呼び出され、「(張副会長に)謝まらないなら、殴り殺してやる」などと脅され、謝罪文を書くよう迫られた。
その後、王市議が組長の黄如意氏(55)と別室に移ると、「王市議の謝罪記者会見がある」との通知を受けた中天電視台の記者2人が入ってきた。
黄氏はテレビカメラに向かい、「張銘清は俺のダチで、王定宇はおれの弟分」などとすごんでみせ、「これは暴力じゃない、こいつ(王市議)が間違ったことをしたら、おれが殴ってやる」と、王市議の胸をこぶしで2回たたいた。そして「こいつを殴れるのは台湾中で俺しかいない。おれがこいつの代わりに張銘清に謝罪する」と語った。
王市議はずっと黙っていたが、最後に顔を引きつらせて「私の命を気にかけてくれてありがとう。兄弟らにも迷惑をかけて申し訳ない」と言い、取材は約10分間で終了した。王市議は結局、約4時間拘束された後に「釈放」された。なお中天は「真偽が判断できない」として、この取材のもようを放送しなかった。
暴力団、天道盟出身の黄氏は、2004年に麻薬取引で指名手配され、中国に逃亡してからは中国財政界で「活躍」したという。今回の恐喝事件は、親しい関係にある張副会長のための「復讐(ふくしゅう)劇」のようだ。