ノートパソコン(ノートPC)受託生産で世界2位の仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)が27日、今年通年の目標出荷台数を2,700万台へと下方修正すると発表した。目標の下方修正は2カ月連続で、異例のことだ。陳瑞聡総経理は「世界的な景気低迷がどこまで悪化し、いつまで続くか、誰にも分からない」と危機感をにじませ、来年中国で予定していた生産拡大計画を大きく見直す考えを示した。28日付経済日報などが報じた。
仁宝の年初段階の目標出荷台数は3,200万台だったが、9月上旬に2,800万~2,900万台へと約10%の引き下げを行っていた。今回の下方修正は、9月に鮮明になった米国発の金融危機で、10月から受注が急速に冷え込んだ事態を受けてのものだ。今期の前期比出荷成長率見通しも、従来の20%から5%へと大幅な修正を行った。
28日付電子時報によると、同社は来年、中国昆山工場で生産設備の拡張を計画していたが、これを取り止めて、現有4基の工場の最適化によって生産額の30~40%向上を目指す。また、来年末に30万~50万台の生産能力を整えるベトナム工場についても、公共設備の投資を段階的に行うことに改めることで、投資額を半減できるとしている。
ITバブル崩壊以来の衝撃
仁宝は来年のノートPC世界市場について、出荷台数予測を今年比23%増の1億6,000万台以上としているが、低価格ノートPC(ネットブック、今年1,000万~1,200万台・来年2,000万台)を差し引くと、成長率は18%まで下がるという。経済日報によると、この数値は2001年のIT(情報技術)バブル崩壊以来で最も低くなる。なお、仁宝の来年の出荷台数は約29.6%増の3,500万台という予測だ。
今週は仁宝以外にも、▽英業達(インベンテック)、きょう28日▽緯創資通(ウィストロン)、29日▽広達電脳(クアンタ・コンピュータ)、31日──と、相次いでノートPC受託生産大手の業績説明会が開催される。各社の今後の見通しに注目が集まるが、広達は既に27日、第4四半期と来年について慎重な見方を提示した。
Q3売上高、前期比27%増
仁宝が27日発表した第3四半期の業績は、売上高が前期比27.4%増、前年同期比4.6%減の1,100億8,700万台湾元(約3,050億円)だった。粗利益率は前期比0.2ポイント減、前年同期比0.3ポイント増の5.10%で、純利益は前期比8.15%増、前年同期比5.64%減の34億7,700万元だった。