ニュース 電子 作成日:2023年12月20日_記事番号:T00112849
ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は19日、劉徳音(マーク・リュウ)董事長(69歳)が2024年6月の董事会の再選に立候補せず、株主総会後に退任すると発表した。後任には、副董事長兼総裁を務める魏哲家(シーシー・ウェイ)氏が就任する予定。TSMC創業者の張忠謀(モリス・チャン、92歳)氏が18年6月に退任後、劉・董事長と魏・総裁のツートップ体制を敷いていたが、今後は魏・総裁が単独リーダーで全責任を負い、インテルやサムスン電子と戦うと予想されている。20日付工商時報などが報じた。
劉・董事長(TSMC提供)
退任後も安定か
劉・董事長は19日、「TSMCでの30年間は特別な旅だった。退任してもリタイアせずに、別の形でこれまで数十年間の半導体業界での経験を還元していきたい」と表明した。
劉・董事長に近しい人物は、日本の熊本工場や米国のアリゾナ工場の進捗が順調で、ドイツ工場の補助金問題も解決のめどが付き、魏・総裁に任せることを決めたと語った。
ある半導体アナリストは、これまでのツートップ体制でも生産設備や製造プロセス、受注や今後の運営について魏・総裁が決定し、実権を握っていたので、劉・董事長の退任後もさほど影響はないと予想した。
魏・総裁(TSMC提供)
インターネット上や業界では、地政学的リスクが高まる中、魏・総裁1人では、劉・董事長が一手に引き受けていた米国工場の拡張や、工場設置・建設や世界の顧客・サプライチェーン(供給網)との関係維持が課題になると指摘する声も上がった。
来年からの経営陣は、▽欧州&アジアセールス・研究開発(R&D)シニア副総経理の侯永清(クリフ・ホー)氏、▽Fabオペレーション副総経理の王英郎(ワイエル・ワン)氏、▽オペレーション副総経理の秦永沛(ワイピー・チン)氏──の呼び声が高い。
ツートップ体制の先駆け
TSMCは、創業者の張氏が18年に退任後、劉・董事長と魏・総裁のツートップ体制に移行した。
中華圏に多かったワンマン経営を捨て、控えめな劉・董事長が社外との交渉を担当、ユーモラスで活発な魏・総裁が社内を担当する協力体制で、先進製造プロセスや先進パッケージング・テスティング(封止・検査)を推進し、インテルやサムスンを大幅にリードしてきた。
テック業界では、▽ファウンドリー大手、聯華電子(UMC)、▽電子機器受託生産大手の和碩聯合科技(ペガトロン)、▽パソコンブランド大手の華碩電脳(ASUS)、▽宏碁(エイサー)、▽産業用コンピューター(IPC)最大手の研華(アドバンテック)──などもツートップ体制を採用した。
劉・董事長は1954年生まれ、台北市出身。国立台湾大学の電気工程系を卒業し、米カリフォルニア大学バークレー校(UCバークレー)で電機・コンピューターサイエンス修士と博士を取得した。米インテルなどでの勤務を経て1993年にTSMCに入社。95年に台湾初の8インチウエハー工場を設立した。12年から魏・総裁と共にTSMC共同営運長(CO-COO)を務め、18年に董事長に就任した。
劉・董事長の持ち株は1291万株、持ち株比率は0.05%。19日の終値585台湾元(約2700円)で計算すると、時価総額は75億5000万元。
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