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《24年総統選挙》総統選挙の政見発表会、対中政策などで激論(トップニュース)/台湾


ニュース 政治 作成日:2023年12月21日_記事番号:T00112875

《24年総統選挙》総統選挙の政見発表会、対中政策などで激論(トップニュース)/台湾

 総統選挙の2024年1月13日の投開票日を前に、総統候補者3人による第1回政見発表会(政見放送)が20日夜、行われた。先頭を切って発言した最大野党、国民党の侯友宜・新北市長(66歳)が、今回の総統選挙は「戦争か平和の選択だ」と突き付け、対中政策について激論が繰り広げられた。勝敗の鍵とみられる若年層の票を取り込む狙いか、若者向けの政策も飛び交った。21日付工商時報などが報じた。

/date/2023/12/21/00present_ho_2.jpg国民党の侯氏は20日、政見発表会で得意な台湾語を半分使い、話下手なイメージを一掃した(20日=中央社)

 政見発表は抽選で、▽国民党の侯氏、▽与党の民進党の頼清徳・副総統(64歳)、▽野党第2党・台湾民衆党の柯文哲・前台北市長(64歳)──の順となった。

侯氏、「中間路線」主張

 国民党の侯氏は中国語と台湾語で、来年の選挙は「戦争か平和か」と有権者に再度、突き付けた。

 侯氏は、民進党は現状維持を主張しているが、民進党政権では台湾独立(台独)で戦争の可能性が高まる一方だと述べた。民進党の頼氏は台南市長時代に台独を三度主張し、行政院長時代に「実務的な台湾独立工作者」と自称しており、台独が戦争を近づけ、平和を遠ざけていると主張した。いわゆる台独は、台湾共和国(台湾国)の建国を意味していると批判し、その上で、侯氏は頼氏に対し、1991年に改定した「自主的な台湾共和国の樹立を目指す」との内容を含む民進党の通称「台独党綱(台湾独立党綱領)」を凍結し、台独の主張を公開の場で放棄するよう求めた。

 また侯氏は、中華民国憲法は両岸(中台)政治の(台湾を守る)「護国神山」だと述べた。中華民国憲法を遵守し、一国二制度や台湾独立(台独)に反対し、「1992年の共通認識(92共識、92コンセンサス)」を尊重し、抑止力(deterrence)と対話(dialogue)によって緊張を緩和(de-escalation)する「3D戦略」を採用することで、中国と対話し、善意を高め、衝突のリスクを低減すると語った。「わたしの中間路線こそが、衝突を遠ざけ、平和に向かう」と強調した。

頼氏​、現状維持こそ真の平和

 これに対し民進党の頼氏は、中華民国憲法が(台湾を守る)「護国神山」などとは聞いたことがなく、中国が認めない限りは可能性がないと指摘した。侯氏は92コンセンサスを受け入れるというが、中国の習近平・国家主席が「92コンセンサスは一つの中国で、一国二制度だ」と発言したのを忘れたのかと問い掛けた。92コンセンサスで一体どうやって中華民国を守るのかと疑問を呈した。

/date/2023/12/21/00present_lai_2.jpg民進党の頼氏は20日、中華民国と中華人民共和国は互いに隷属せず、中華民国台湾の前途は2350万人が決定すると強調した(20日=中央社)

 頼氏は、国民党の侯氏と、「両岸一家親(中台は家族だ)」を主張する柯氏の2人に、国家の生存を守れず、統一による偽の平和に向かうだけで、現状維持こそが真の平和をもたらすと主張した。

柯氏、防衛予算3%に

 台湾民衆党の柯氏は、台北市長時代(14~22年)の台北市と上海市の都市フォーラム「双城論壇」やユニバーシアード夏季大会などの経験から「台湾自主、両岸(中台)平和」と説き、当時から言及している「五つの相互(相互の認識、理解、尊重、協力、容赦)」で、双方が納得できる方法を模索すると述べた。

/date/2023/12/21/00present_ka_2.jpg台湾民衆党の柯氏は20日、台湾共和国の総統ではなく、中華民国の総統を選ぶのではないのかと、頼氏を皮肉った(20日=中央社)

 一方で柯氏は、防衛予算を域内総生産(GDP)の3%に引き上げる考えを示した。

若者にアピール

 総統選挙は、世論調査の支持率を見る限り、国民党の侯氏が民進党の頼氏に迫っている。特定の支持政党がない中間層や、台湾民衆党の支持が多い若者の票を取り込めるかが、勝敗を分けるとみられている。

 民進党の頼氏は、住宅価格が高すぎて若者が購入できない問題を改善するため、社会住宅(賃貸専用の公営住宅)を増やすと表明した。

 国民党の侯氏は、40歳以下で初めて住宅を購入する人を対象にした、融資の優遇措置を掲げている。

 台湾民衆党の柯氏は、融資の返済期間が長引き、返済額が増えるだけだと批判し、社会住宅の建設のほか、税制の見直しや賃料の補助を掲げた。

 総統候補と副総統候補の政見発表会は、22日(副総統候補)、26日、28日にも開催される。30日、1月1日(副総統候補)にはテレビ討論会が行われる。

 

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