ニュース 政治 作成日:2023年12月22日_記事番号:T00112900
中国は21日に両岸(中台)間の海峡両岸経済協力枠組み協定(ECFA)のアーリーハーベスト(早期関税引き下げ措置)対象の石油化学製品12品目に対し、2024年1月1日からゼロ関税を取りやめると発表した一方、中国の国務院台湾事務弁公室(国台弁)の朱鳳蓮・報道官は22日、即日、台湾産ハタの輸入を一部再開すると発表した。国民党などの要請を受けたものと説明した。来年1月13日の総統選挙を控えたタイミングで、与党の民進党に圧力をかけ、最大野党、国民党を支援する「アメとムチ」とみられている。22日付工商時報などが報じた。
台湾中油(CPC)のプロピレンのサイロ。プロピレンなどの石化製品12品目は、セーターや靴、かばんなどの素材として使用されている(21日=中央社)
経済部の王美花・部長は、石化製品12品目の輸出額は18億米ドル余りで、経済的打撃は限定的だと説明した。経済部の陳正祺・政務次長は、石化製品12品目を輸出できなくなるわけではなく、世界貿易機関(WTO)の最恵国待遇の関税率2~10%(2品目は暫定1%)が適用されると説明した。
統計によると、石化製品12品目の1〜11月の対中輸出額は18億6900万米ドルで、12品目の輸出額全体の84.4%を占める。対中輸出額に占める割合は2%、輸出総額に占める割合は0.5%に満たない。
台塑集団(台湾プラスチックグループ)の台塑石化(フォルモサ・ペトロケミカル、台塑化)の陳宝郎・董事長は、プロピレンやパラキシレン(PX)などは主に台塑化と台湾化学繊維(フォルモサ・ケミカルズ&ファイバー、台化)が、中国浙江省の寧波プラント向けに輸出していると説明した。うちプロピレンは月16万〜20万トン生産しており、主に内需向けで、中国の寧波プラントへの輸出は月に1〜2回程度で、ゼロ関税取り消しの影響は大きくないと語った。
業界団体、台湾区石油化学同業公会の曹明・理事長は、政府に対し、中国の商務部と猶予期間を交渉してほしいと述べた。両岸(中台)関係が緊張し、政府間の対話ができなければ、石化製品12品目に続いて、2回目、3回目のゼロ関税打ち切りがあると懸念を示した。仮にECFAが全面停止すれば、石化製品の80品目や工作機械、農林水産業まで影響が広がると指摘した。
機械・農産物が次の標的か
機械業界団体、台湾機械工業同業公会(TAMI)の魏燦文・理事長は、中国の業界団体に対し、機械をゼロ関税打ち切り対象に追加しないよう、中国の商務部に掛け合ってほしいと頼んだと語った。
機械は107品目がゼロ関税の対象だ。工作機械の1〜11月対中輸出は前年同月比11.1%減の6億4700万米ドルだった。中国向けは全体の27%で最大、米国向けや日本向けを上回る。台湾の中小規模の工作機械メーカーの30%以上が、中国との取引を中心としている。
農産物の1〜11月の対中輸出額は4億3000万米ドルだった。うちゼロ関税は2879万米ドル分で、減税額は417万米ドル。農産物の対象は18項目で、茶葉、バナナ、ドラゴンフルーツなど。特に茶葉は、中国への輸出額が大きい。
中国は21年3月以降、台湾産パイナップルなど農産物の輸入を相次いで停止している。
92コンセンサスを要求
中国の国台弁の朱・報道官は21日、両岸(中台)は「1992年の共通認識(92共識、92コンセンサス)」に基づいて貿易上の各種問題を協議できるとコメントしていた。
92コンセンサスは、1992年に中台が「一つの中国」原則で一致したとされるもの。国民党は、総統選挙の公認候補、侯友宜氏が中華民国憲法に合致する92コンセンサスを受け入れると明言した。民進党はもともと92コンセンサスの存在を認めておらず、特に中国が近年、92共識に一国二制度が含まれると主張したことから、強く拒否している。
ECFAは2010年に、馬英九・政権(国民党)で調印、発効した。11年からアーリーハーベストが段階的に始まり、13年に対象品目が全てゼロ関税となった。
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