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陳雲林・海協会会長、台湾に到着


ニュース 政治 作成日:2008年11月3日_記事番号:T00011320

陳雲林・海協会会長、台湾に到着

 
 中国の対台湾窓口機関、海峡両岸関係協会(海協会)の陳雲林会長率いる60人以上の訪台団が3日、9年ぶりに台北で開かれる中台公式協議に出席するため、台湾に到着した。協議では▽航空旅客・貨物便の直航▽海運直航▽郵便物の直接往来▽食品の安全と衛生──に関する4項目の合意文書に署名する予定だ。今回は不測の事態を回避するため、桃園国際空港や宿泊先の円山大飯店(グランドホテル)など関係個所で空前の厳戒体制が敷かれたが、その中で民進党関係者らによる抗議活動が断続的に行われた。
 
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江丙坤海基会董事長(左)と握手を交わす陳雲林海協会会長(右)(3日=中央社)
 
 台湾側窓口、海峡交流基金会(海基会)の高孔廉副董事長が迎える中、桃園空港に到着した陳会長一行は、12時40分過ぎに円山大飯店に入った。「陳会長が台湾の地を踏んだことは歴史的な一歩」という江丙坤海基会董事長の歓迎の言葉に続いて陳会長は、「両岸(中台)の平和と発展は心からの願いであり、対話こそが唯一の道だ。相互信頼を深めダブルウィンを成し遂げたい」という談話を発表した。また今回の協議について、「いかなる政治的問題には触れず、台湾内部の政治問題には介入することもない」と語った。
 
警備は7千人態勢
  
 陳会長の訪台は、中国政府関係者としては過去最高レベルの訪台だ。しかし先月、張銘清海協会副会長が台南市で、民進党市議ら抗議に集まった群衆に詰め寄られ転倒するという事件も起きており、国家安全局では同様の事態が起きないよう、陳会長に常時30人以上のボディーガードを付けるほか、空港、道路、ホテル周辺に7,000人を超える警察官を動員して警戒に当たっている。
 
 一方、馬英九政権が進める中台交流を、将来の統一への布石と警戒感を強める民進党および本土派団体は、抗議のため陳会長に「影のごとくつきまとう」と宣言している。3日も円山大飯店近くで、抗議の黒い風船を飛ばそうとした民進党の台北市議会議員と警察がもみ合ったり、陳会長が同ホテルに入る際、事前に部屋を予約した民進党の台中市議ら4人が「Taiwan is Taiwan」と書いた垂れ幕をホテルの6階から垂らし、警察官に強制撤去されるなど早速小競り合いが起きている。
 
10万人で台北賓館を包囲へ
 
 民進党および本土派団体は、今週1週間を「台湾防衛週間」と位置づけ、台北市済南路で3日午後6時33分から3日連続で抗議の座り込みを行う。さらに同党は6日午後3時から、陳会長と馬総統の会談が行われる台北賓館(中正区凱達格蘭大道)を取り囲むデモの実施を計画しているが、台北市警察局は2日、同デモの申請に対し不許可とする決定を下した。これに対し民進党の蔡英文主席は、「全体主義国家のやり方だ。民主国家において民衆のデモによる意思表示は常態だということを忘れている」と強く非難した。ただ、同党は予定通りデモを実施する予定で、政党の台湾団結聯盟(台聯)も合流し10万人以上の参加が予想されている。
 
以遠権・便宜置籍船の開放が焦点
  
 4日に調印が予定される4つの主要議題については、事前の折衝によって大枠では既に合意が達成されているもようだが、台湾側の求める航空便の以遠権獲得と、外国に船籍を置く便宜置籍船の中台直航を中国側が認めるかどうかが焦点となる。
 
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 3日付経済日報は、消息筋の話として「航空便の以遠権について既に北京側は台湾側の提案を受け入れることを決めた」と報じており、これが実現すれば域内航空会社にとって、アジア・太平洋市場での競争力が大きく向上することになる。
 
 また同紙によると、台湾の海運会社が保有する船舶の99%以上が、税負担や航線を考慮して外国で登記されており、便宜置籍船の就航が認められるか否かが今回の協議の鍵となっている。同紙では「中国側でも便宜置籍船が増えており、中台の意見の隔たりは縮まっている」と実現の可能性を示唆した。
 
 また5日に開かれる金融座談会では今後の中台協議で議題となるとみられる金融監督分野での協力に向けた覚書(MOU)の細則について意見交換が行われる予定だ。これについて行政院金融監督管理委員会(金管会)の李紀珠副主任委員は、「銀行の中国事務所が支店に昇格した場合、規則により人民元業務を取り扱えるのは3年後になるが、これを1~2年に短縮または完全になくすよう求める」と語り、域内銀行に有利な方向に協議を進めたいという考えを示した。