ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

中台の海空運新時代へ、直航を全面開放


ニュース 政治 作成日:2008年11月4日_記事番号:T00011350

中台の海空運新時代へ、直航を全面開放

 
 中国の陳雲林・海峡両岸関係協会(海協会)会長を迎えて行われている中台公式協議で4日午後2時、▽航空貨物チャーター便の就航▽海運直航の開放――などについての合意文書が調印された。協議の焦点となっていた海運直航における便宜置籍船の運航については、中国が条件付きで認めた。合意内容は来月中旬より有効となる。これによって中台間の海空運は全面的な直航時代に入り、ビジネスや旅行の利便性が格段に高まることとなった。
 
T000113501

公式協議開始を前に握手を交わす江丙坤海基会董事長(右)と陳雲林海協会会長(左)(4日=中央社)

直航貨物便、月60往復運航

 空運については、▽直航旅客チャーター便の週末のみの運航から平日運航への拡大▽週36便から108便への増便▽中国側発着点の現行5カ所から計21カ所への増加――が決定した。中国側発着点に追加されたのは、▽成都▽重慶▽杭州▽大連▽桂林▽深圳▽武漢▽福州▽青島▽長沙▽海口▽昆明▽西安▽瀋陽▽天津▽鄭州──の16空港。

 直航貨物チャーター便も台湾側発着点を高雄国際空港(小港空港)と桃園国際空港、中国側発着点を上海浦東国際空港、広州白雲国際空港のそれぞれ2カ所として毎月60往復を運航することが決まった。

 直航貨物便の運航について双方は2~3社の参入で同意しており、4日付経済日報によると、多くの貨物機を抱える中華航空(チャイナエアライン)、長栄航空(エバー航空)に、復興航空(トランスアジア・エアウェイズ)が加わる見通しだ。 上海(華東)と広州(華南)は、中国に進出する台湾企業が最も集中する地域で、貨物量も最大だ。貨物運送を行う航空会社にとって、貨物需要を確保できるほか、従来のように香港を経由する必要がなくなることは、機体の手配に便利で大幅なコスト削減につながる。

直線ルートで燃油コスト45%減
 
 空運に関する協議で最も注目を集めた、香港や日本などの管制空域を経由せず、中台の管制部門が直接接続する「直線ルート」も採用が決まった。これにより桃園空港から上海までは現在の150分から82分に短縮され、燃油コストも40~45%節減できるようになる。航空会社が1年に節減できるコストは30億台湾元(約90億円)に上るとされ、航空券料金の値下げとして消費者に還元される見込みだ。

 合意文書内で、同ルートは国際線でも国内線でもない「両岸特殊航線」と位置付けられた。海基会の高孔廉副董事長は、「国防上の安全には十分に配慮しており、台湾の安全や空軍が必要とする空域に影響することは絶対にない」としている。

便宜置籍船も条件付き開放
 
 海運の直航については、台湾側11港、中国側63港を開放することで合意した。今後石垣島を経由することなく直接中台間の貨物輸送が可能になり、基隆~上海は約9時間短縮されて17時間、基隆~福州は約6時間で運航できることになる。

 また便宜置籍船については、現在既に境外航運中心を通じて「両岸三地(中国大陸、台湾、香港)」間のコンテナ・砂利運搬に従事している中台資本の保有船舶に対し、特別許可を得た上での海運直航便の運航を認めることで合意した。船舶が港に入る際は、台湾~香港航路にならい国旗は掲げない。

 中台の海運会社が相互に事務所を構え営業活動を行うことも認められ、さらに、直航事業により得た収入に対し、中台ともに営業税、所得税を免除することも決定した。 域内海運業者は今回の合意について、「便宜置籍船はこれまでも中台間の運航を行っており、それほど変わりはない」と語ったが、営業税および所得税の免除については、「長栄海運(エバーグリーン・マリン)と陽明海運(ヤンミンライン)は、年間約30億元の減税となる」と指摘した。

食品安全ホットラインの設置目指す
 
 協議では空海運の直航のほか、▽郵便物の直接往来▽食品の安全と衛生──に関しても合意文書が取り交わされた。

 直接郵便に関しては、今後は書留だけでなく、一般郵便物、小包、速達も第三地を経由せず直接届けられることになる。直接郵便の拠点は、台湾側は▽台北▽基隆▽高雄▽金門▽馬祖──の5カ所、中国側11カ所が直接郵便の拠点となる。

 また食品の安全と衛生に関しては、中台間のホットライン設置、調査請求への相互協力、食品衛生に問題が生じた際の生産と輸出の停止、原因および責任の所在を明らかにすることを要求できる包括的な枠組みを確立する。

 今回の合意事項が発効するのは、食品安全機構が7日後、その他の直航と郵便の3項目は40日後だ。
 
T000113502