6日午後4時30分から予定されていた馬英九総統と中国の対台湾窓口機関、海峡両岸関係協会(海協会)の陳雲林会長との会談は、急きょ時間を繰り上げて午前11時から台北賓館(中正区凱達格蘭大道)で行われた。会談は10分程度で終了したが、中国政府を代表する海協会トップと台湾の総統が会うのは初めてで歴史的な会見となった。
陳雲林・海協会会長は「駿馬」を描いた記念の絵を馬総統に贈った(中央社=6日)
会談の時間の午前中への繰り上げは、前日5日、呉伯雄国民党主席が陳会長を招いて行ったパーティー会場周辺で警官と群衆の大規模な衝突が発生したことを受け、民進党や本土派団体が「馬陳会談」に合わせて午後から会場周辺で予定していた「10万人デモ」を避けたためとみられる。
馬総統は会談で、「陳会長が江丙坤海峡交流基金会(海基会、台湾側窓口機関)会長と台湾で初めて会ったことは両岸(中台)関係にとって大きな一歩だ」と語り、中台協議で海空運直航など4項目で合意に達したことを「双方の経済交流にプラス効果となる」と成果をたたえた。また、「今後は『現実正視、相互承認、人民の利益、両岸平和』を基に見解の隔たりを解決できるよう希望する」と語り、さらなる交流の活発化に期待を示した。
「総統」呼称は使わず
会談を前に台湾メディアでは、陳会長が馬総統をどのような呼称で呼ぶかに注目が集まっていたが、贈り物を馬総統に渡す際「ニン(二人称尊称)」と呼び掛け、「総統」の呼称を口にすることはなかった。
10万人デモを予定していた民進党側は、肩すかしを食わされる形となったが、こちらも会談に合わせ、時間を早めてデモを決行した。予定が早まったために午前11時のスタートには間に合わなかった参加者も、その後続々と集結した。バリケードを倒したり、警官に空き瓶や石を投げるなど衝突が起き、負傷者も出た。