中国国民党(国民党)の総統選挙候補者である馬英九同党前主席は23日午前10時過ぎより台北市で記者会見を開き、選挙でペアを組む副総統候補者として、2000年の総統選挙でも国民党の副総統候補として当時の連戦候補(現同党名誉主席)と組んだ、蕭万長元行政院長(同党元副主席)を選んだことを発表した。
蕭氏は嘉義市出身で68歳。李登輝前総統の国民党政権で、経済部長(1990年6月~93年2月)、経済建設委員会主任委員(93年2月~94年12月)、大陸委員会主任委員(94年12月~95年12月)、行政院長(97年9月~00年5月)を歴任した。
00年3月の前々回総統選挙では、連戦氏と共に国民党を代表して戦ったが、民進党の陳水扁・呂秀蓮ペア、無所属の宋楚瑜・張昭雄ペアに次ぐ3位に終わった。その後、00年6月から05年3月まで国民党副主席。01年3月より両岸共同市場基金会董事長、02年7月より中華経済研究院董事長を務めている。
馬氏は記者会見で、蕭氏を選んだ最大の理由として、「台湾経済の復活への舵取り役として最適な人物であるため」と説明。81年から87年まで務めた経済部国際貿易部長時代、台湾の輸出額を約15倍に伸ばしたこと、行政院長の任にあった97年は、アジア通貨危機の中で経済成長率6.8%を達成させた実績を挙げて、「経済大戦略の総設計士にふさわしい」と語った。
「簫万長氏自身も「厳しい経済状況を打開したい」と意欲満々だ(中央社)
「両岸共同市場」提唱
蕭氏は国民党本土派で、馬氏の紹介通りの経済通として知られる。中台の互恵・共栄関係の下での「両岸共同市場」の創出が持論で、台湾を世界最大の自由貿易地域とすることや、中台関税同盟の締結もアイディアとして主張している。人柄は温厚で、「スマイル蕭」のあだ名がある。
馬氏は先月末に本土派の実力者、王金平立法院長(国民党副主席)に副総統候補としてペアを組むことを拒否された後、外省人で台北市に基盤を置く自身との補完性が高い、「中南部出身の台湾籍で、社会的信頼性の高い人物」を条件に人選を進めていた。そして、「実直で実務的、経済・国際関係に通じ、台湾の正しい活路を探るという理念が一致する」蕭万長氏に白羽の矢を立てて交渉し、先週のインド、シンガポール訪問後に応諾を得ていた。23日付中国時報によると、馬氏が蕭氏に出馬を要請した際、「台湾は現在のような状況になってしまった。拱手傍観していられるでしょうか?」という一言が出馬決断の決め手になったという。
馬氏は中台経済関係の大幅な拡大を選挙公約としているが、蕭氏はこれについて、「両岸(中台)関係を世界の中の位置づけで考えるべきで、直航を意図的に強調する必要はなく、そうすることで民進党による『中国傾斜』のレッテル張りから自然に逃れられる」と注文をつけている。また、「(選挙で)重要なことは、台湾人民を感動させることだ」と語っている。
票の開拓能力は未知数
副総統候補が蕭氏に決まったことについて呉伯雄国民党主席は、「非常に良い人選だ」と語り、馬氏の選択への支持を表明した。統一指向の馬氏では党内本土派の糾合は難しいが、蕭氏であれば経歴、実績とも十分でそれが可能と期待できるからだ。
しかし、実際に票を開拓できるかは現段階では未知数だ。王金平氏に近い筋は、「すでに政治的キャリアが終わりかかっていた人であり、有権者がどう受け止めるかは分からない」と語っている。7年前の総統選で敗れていることも、新鮮感を乏しいものにしている。
民進党陣営も同様の見方で、新潮流系の元総召集人、頼清徳立法委員は、「当時連戦氏と一緒に落選した蕭氏が、落ち目の馬氏を救える訳がない」と指摘する。謝長廷派の李俊毅立法委員は、「馬氏は新鮮な印象を与える学者でも選ぶと思っていた」としつつ、「蕭氏を選択したことは、国民党がまともに人材育成をしてこなかったことを意味する。かえって謝長廷氏に有利だ」と切って捨てた。