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建築物の外壁タイル落下、歩行者のリスク増大【図表】(トップニュース)/台湾


ニュース 建設 作成日:2024年4月15日_記事番号:T00114753

建築物の外壁タイル落下、歩行者のリスク増大【図表】(トップニュース)/台湾

 新北市政府都市更新処は、3日の花蓮地震発生以降、集合住宅などの建築物の修繕の補助金などに関する問い合わせが3倍以上に増えたと明かした。建築物の外壁タイルの剥離・落下事故報告は、2023年の新北市だけで313件と、過去5年で倍増し、うち3件はけが人が出て、罰金処分を下された。ただ、政府の補助金があっても建築物の修繕は住人の負担が大きく、これまで修繕の意欲は高くなかった。14日付聯合報が報じた。

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 台湾の建築物は1970年代から日本の外壁デザインを参考に、​​積みレンガ調の二丁掛けタイルが流行した。台湾は高温多湿な気候で、温度変化によって膨張、収縮したタイルが剥がれ落ち、まるで「タイルの雨」のように落下する事故を引き起こしている。新北市だけでも19〜23年に外壁タイルの剥離・落下事故が合計1080件報告された。

 黄瑋如・弁護士によると、台北市の老朽建築物で外壁タイルが剥がれ落ち、子どもの頭に直撃した事故では、集合住宅の管理組合、社区管理委員会(管委会)がなく、所有者13人全員が過失重傷害罪で起訴された。

 新北市政府工務局の祝恵美・局長は、外壁の剥離物を報告する制度があり、新北市政府に報告があれば人員を現場に派遣し、建築物の周囲を封鎖し、交通規制を行うほか、所有者に対し再発防止を求めていると説明した。しかし、建築法で所有者や使用者に建築物を安全に使用する責任があるものの、建築物の外壁を定期的に検査したり報告する制度がなく、執行は困難だと語った。

修繕積立金なく合意困難

 新北市に築30年以上の老朽建築物は70万棟以上ある。新北市政府は外壁の修繕に対し補助金を最高75%、上限1500万台湾元(約7100万円)支給している。しかし、建築物の外壁の修繕は数千万元かかるので、補助金があっても住人の負担は大きく、修繕の意欲は高くなかった。

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 新北市土城区の築40年のある集合住宅では、住人が外壁塗装を提案したものの、所有者全員の合意を得るのは難しく、花蓮地震後、ひとまず転落防止ネットを設置した。

 新北市中和区の築37年のある集合住宅では、5年前から外壁タイルが剥がれはじめ、住人は手で頭を守りながら出入りしていた。1階に住む住人の呉さんが、外壁タイル落下でけがをしたニュースを目にして不安を感じ、他の住人を説得して回り、最近ようやく新北市政府に補助金を申請することができた。

 呉さんは、修繕費用の見積もりは1100万元まで膨らみ、転落防止ネットでいいという声や、5階の外壁タイルの剥離・落下を他の階の住人が負担したくないなどの声で、意見がまとまらず、新北市政府都市更新処や建設会社の協力を得て、社区管理委員会を設立し、5年がかりで決まったと振り返った。

 台湾物業管理学会(TIPM)の郭紀子・理事長は、台湾の集合住宅は修繕積立金の徴収制度がなく、建築物か老朽化する頃には、仕事をリタイアしており、経済的な負担が困難な住人が多いと分析した。また、建設業は人手不足が深刻で、新築物件の方が時間も労力もかからず、利益率が高いので、修繕を引き受けたがらないと指摘した。

 

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