10日付工商時報によると、米アップルと華碩電脳(ASUS)が第4四半期、需要の冷え込みを受けてノートパソコン(ノートPC)受託製造メーカーへの発注量を、3割削減しているという観測が出ている。川下メーカーの相次ぐ減産は、特にパネルメーカーへのダメージが大きく、生産能力利用率が低下の一途をたどっている。年内に稼働率が50%を割るようなことがあれば、域内パネル業界では初めてとなる生産ライン停止を迫られるほどの厳しい状況を迎えている。
ASUSは域内でパネル6割調達
末端市場の需要低迷が続き、テレビやパソコンなどの各ブランドメーカーは、年末ハイシーズンと来年上半期の販売状況を悲観しており、既に第3四半期末から在庫調整に入っている。パネル発注も削減され、域内パネルメーカーの出荷の30%を占めるサムスン電子とソニーは、10月初旬からからテレビ用パネルの発注を5割削減している。さらにこの2社に続きアップルとASUSのようなノートPCブランドメーカーも、発注を削減し在庫を減らして不景気を乗り切ろうという意図を持っているとみられる。
アップルはパネルの30%を友達光電(AUO)と奇美電子(CMO)から、ASUSは60%を域内メーカーから調達しており、両社の発注30%削減が事実とすれば、台湾パネル産業にとっては「泣きっ面に蜂」のダメージを被ることになる。
公表値より低い稼働率
市場調査会社、ウィッツビューの張小彪副総経理によると、域内パネルメーカーは今回の不景気で最初の発注削減対象となったため、生産ライン稼働率が過去最低まで落ち込み、韓国メーカーをはるかに下回る状況となっているという。
域内パネルメーカーの第4四半期の稼働率は、AUOで70%、奇美電は60~70%とされているが、張副総経理は、「実際は公式発表されている数字よりさらに低く、50%を下回る生産ラインも存在する」とみている。また、生産ライン稼働率は、全世界で生産能力が最大の第5世代工場と、モニターと32インチ型パネルの生産を主とする第6世代工場で低下が著しいと指摘している。
奇美電、工場停止の可能性も
また最近「奇美電が第5世代の生産ラインを一部停止することを検討中している」という観測も出ている。これに対し、同社では「生産ラインは1本も停止していない」としながらも、「現在確かに市況が悪く受注も先行きが不透明で、稼働率がさらに落ち込めば利益優先を原則としてラインの停止や工場閉鎖もの可能性もある」を、厳しい現状を認めている。
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