長びくDRAM不振で業界各社の業績に深刻な影響が出ているが、施顔祥経済部次長は10日、「政府は短期的には資金援助、長期的には産業構造の改善を目指し、企業の整理・統合を進める」という方針を示した。経済部は「域内DRAMメーカーの生き残りには、生産能力過剰の課題解決が不可欠」とみており、業界再編に本格的に取り組んでいく構えだ。11日付工商時報などが報じた。
業界への融資残高4千億元
施経済部次長は10日の立法院経済委員会で「域内半導体産業の発展への政府支援」をテーマに報告を行った。この中で施次長は、「DRAM業界は早ければ来年半ばには回復に向かう」という見通しを示したが、これに対して徐中雄立法委員(国民党)から、「楽観的過ぎる。域内金融機関のDRAM産業への融資残高は4,000億元(約1兆2,000億円)を超えており、処理を誤れば台湾に世界金融危機を上回る影響を及ぼす」という指摘がなされた。
同委員会に出席した陳添枝・行政院経済建設委員会(経建会)主任委員は、「今後増額される行政院国家発展基金(国発基金)の資金をDRAMなど苦境に陥っている域内大型産業への支援に投じる」と表明した。陳主委は「詳細は国発基金で現在検討中だが、支援を望む企業が整理・合併を含めた『体質改善計画』を提出し、これについて国発基金が評価を行うことになる」と語った。
観測によると、財務状態が厳しくなった複数のDRAMメーカーが、最近経済部と経建会に支援を求めて接触したという。経済部幹部も「確かに数社と会って合併の可能性を探った」と認めたものの、「域内DRAMメーカーは異なる親会社の傘下にあり、技術的バックグラウンドが異なるため合併は難しい」と話している。
メーカーの反応分かれる
こうした救済計画に対し、域内DRAM各社は、最大手力晶半導体(PSC)と茂徳科技(プロモス・テクノロジーズ)が、「政府の支援はDRAM業界にとって大きな福音。域内メーカーの長期的な競争力強化につながる」と歓迎の意を示した。一方、南亜科技は、「資金援助は根本的な解決にはならず、産業構造の改善が必要」とし、「いかなる支援を行うにしても、『公平』を原則としてほしい」という希望を示した。
信用保証基金からも6千億元
陳経建会主委は同日、政府の企業救済3大政策として、「従来通りの銀行による中小企業を中心とした融資への政府介入、および国発基金による企業への直接出資に加え、中小企業信用保証基金(SMEG)を通じて『中大型企業新増投資融資』案を実施して、6,000億元を上限に資金を投じる」と表明した。
12月1日からの実施を目指している同案は、新規投資に対する融資を条件に、単一企業に対し2億元を上限に融資を行うものだ。実際には全資金が銀行からの融資となり、政府がこれに最高70%の保証を与える形となる。
陳主委は「リスク懸念を高めている銀行による貸し渋りを防止するため」と措置の目的を説明している。一方、市場からは「DRAM業界救済案に等しい」という見方が出ている。
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