台北地方法院は12日午前7時すぎ、国務機密費流用などの疑いで最高検察署特別偵査組(特捜部)によって身柄を拘束されていた陳水扁前総統の逮捕を認める裁定を下し、執行された。総統経験者では初めての逮捕者となった陳前総統は8時25分に台北看守所に収監された。12日付中国時報などが報じた。
検察に拘束された際、「政治迫害」と叫んで手錠を掛けられた両手を掲げる陳前総統。「汚職はしていない」と強調しているが、具体的な説明は行っていない(11日=中央社)
陳前総統はこれまで一貫して無罪を主張しており、拘束に際しては「政治迫害だ」と叫んだ。これに対し馬英九総統は12日、「何の根拠もなく政治迫害を口にすることは、司法への不信を招く。責任ある政治家の態度ではない」と批判した。
これまでの捜査により特捜部では、陳前総統の長男陳致中氏の妻、黄睿靚氏名義の「メリルリンチ銀行スイス」口座にある2,100万米ドルの不透明な資金は、主に機密費の着服や、南港展覧館の入札および新竹科学園区(竹科)龍潭科学園区(桃園県)の用地取得などに絡んで陳前総統らが不正に得たものとみている。
特捜部では、陳前総統と呉淑珍夫人が不正に流用した機密費は1億台湾元(約3億円)近くに上るとみており、「公有財産の横領」や「職務を利用した財産の詐取」の罪で10年以上の有期刑または無期懲役に相当すると判断している。
また南港展覧館の入札に関して約9,000万元、龍潭園区の用地取得については1,200万米ドルの賄賂を受け取ったとみており、今後刑が確定すれば、特捜部はメリルリンチ銀行スイスに対し現在凍結されている資金の返還を求める方針だ。