12日付工商時報によると、来年の春節(旧正月)ボーナスは、中華電信が好調な業績を反映して今年(7.1カ月)以上が見込めるなど、電信業界で高い水準を期待できそうだ。一方、景気低迷による業績悪化を反映して、生命保険や液晶パネル業界は支給額の大幅な縮小を余儀なくされる見通しだ。
中華電信は今年、為替差損の発生により通年利益は前年比9.6%減の435億9,900万台湾元(約1,293億5,000万円)を予想していたが、業績が好調で1株当たりの利益(EPS)が4.72元と昨年の4.57元を上回る見通しとなった。これを受けて同社経営層は昨年実績からさらに0.5カ月、またはそれ以上の追加支給を検討しており、董事会で承認を受ければ春節ボーナスは総額で今年の7.1カ月を上回ることが視野に入る。
過去2年、平均で3~4カ月を支給してきた台湾大哥大(タイワン・モバイル)も、「来年は今年の水準を下回ることはない」としている。同社は業績向上により、通年のEPSが電信大手3社で最も高い5.27元に達すると見込まれている。
兆豊銀、大幅減が確実
銀行業界は、政府系の▽台湾銀▽台湾土地銀▽合作金庫銀──、および1998年に民営化された▽彰化銀▽第一銀▽華南銀──の「三商銀」がいずれも最低4.6カ月の水準を維持できそうだ。
しかし、民間銀行は世界金融危機の影響でいずれも厳しくなる見通しだ。兆豊銀は10月初旬にリーマン・ブラザーズ関連商品、およびCBO(社債担保証券)などを減損処理した結果、9月末段階で23億7,400万元の赤字転換となった。この結果、春節ボーナスは今年の7.7カ月から固定の2カ月へと大幅に減る恐れがある。なお、同行の労働組合は現在、3カ月の業績ボーナスを追加支給するよう交渉を行っている。
今年、主管級に約6カ月、一般行員に最低4カ月を支給した中国信託金融控股、平均で5カ月以上を支給した富邦金融控股の2社は、来年はいずれも4~5カ月の水準となりそうだ。
生命保険では、国泰人寿保険(キャセイライフ)と新光人寿保険の大手2社が今年より減らす方針で、現在削減幅を検討中だ。
生保業界全体で業績ボーナスが従来の2~3カ月から約1カ月に縮小する見通しで、この結果、外資系生保会社の来年の春節ボーナスは2~3カ月水準となるとみられる。今年、南山人寿保険は最低6.5カ月、ING安泰人寿保険や安聯人寿保険は最高6カ月だったため、大幅な縮小となる。
AUO・奇美、2カ月を保障
ハイテク業界では、液晶パネル各社が大幅に下がるとみられている。今年上半期は業界が好調だったため、奇美電子(CMO)や中華映管(CPT)は平均4~5カ月の業績ボーナス支給。友達光電(AUO)、群創光電(Innolux Display)の春節ボーナスは7カ月に達した。しかし、下半期は一転して過去最悪とも言われる不況に突入しており、これが反映されることは確実だ。AUOと奇美は従業員に年収14カ月分を保障しており、春節ボーナスは最低でも2カ月分はもらえる。
自動車業界、一定額を保障
自動車業界も厳しい不振にあえいでいるが、▽裕隆汽車▽裕隆日産汽車▽中華汽車工業▽福特六和汽車▽台湾ホンダ▽三陽工業▽和泰汽車──などはそれぞれ従業員に1~3カ月の春節ボーナスを保障しており、今年並みを維持できる。和泰は3カ月、三陽工業と台湾ホンダは1カ月、福特六和は2カ月プラス1カ月の皆勤ボーナス、などとなっている。
公営企業は高水準、羨望の対象
なお、公営企業では、昨年146億元の利益を上げた台湾中油が4.6カ月支給が確実な一方、332億9,800万元の赤字だった台湾電力は4.6カ月を希望しているものの、行政院国家科学委員会(国科会)の許可が下りない可能性もある。台湾糖業は過去最高の4.14カ月が見込めそうだ。
公営企業のボーナス水準は、不景気で多くの民間企業が支給額を削減せざるを得ない中、羨望(せんぼう)の目で見られている。
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