ニュース 政治 作成日:2024年6月20日_記事番号:T00115962
頼清徳・総統は19日、民間との対話と国際社会との協力を深化し、発展戦略を策定する3つの委員会を総統府に設置すると発表した。うち2050年のネットゼロ(温室効果ガス排出量実質ゼロ)目標達成のためエネルギー転換などについて議論する「国家気候変動対策委員会」では、原子力発電所(原発)の稼働期間を延長するかなどについて議論が可能だと語った。頼・政権に対し、新型原子炉(EPR)導入を提言していた、電子機器受託生産大手の和碩聯合科技(ペガトロン)の童子賢・董事長らを副招集人に任命しており、頼・総統が原発継続を前向きに検討している動きともとれる。20日付聯合報などが報じた。
頼・総統(中)は19日、「きょう行動しなければ、あすの進歩が遅れる」をテーマに、台湾の戦略を世界のソリューションにしていきたいと語った(19日=中央社)
頼・総統は19日、「信頼新政、時代新台湾」と題した就任1カ月の記者会見を開き、総統府直属の委員会設置を発表した。各委員会の招集人は頼・総統自身が務める。頼・総統は、新たな問題の解決には昔ながらの方法だけでなく、対話のプラットフォームを構築し、産官学、民間の力を借りる必要があると説明した。
頼・総統は、50年のネットゼロ達成は今や提唱さえ不要な必然だと述べ、気候変動対策の必要性を訴えた(頼・総統フェイスブックより)
国家気候変遷対策委員会の副招集人は、▽鄭麗君・行政院副院長、▽廖俊智・中央研究院院長、▽童・ペガトロン董事長──の3人が務める。グリーンとデジタルを主軸に、ネットゼロ実施に向け、エネルギー転換や、企業などに炭素排出に対する金銭的負担を求める炭素価格(カーボンプライシング)、グリーン金融などについて議論する。
「異なる意見を取り入れる」
頼・総統は、メディアの質問で、童・ペガトロン董事長は、脱原発を進める政府とは異なる立場だが、政府はエネルギー政策を見直す方針かと問われ、異なる党派や意見を取り入れ、社会との対話を強化することを念頭に人選を行ったと説明した。
童・ペガトロン董事長は先月、▽稼働を停止した第2原子力発電所(新北市万里区)の再稼働、▽25年に運転期限を迎える第3原発(屏東県恒春鎮)の稼働延長、▽フィンランドのオルキルオト原発3号機(OL3)のような、新型原子炉(EPR)の設置──を訴えていた。電源構成(エネルギーミックス)で原発の割合を30〜32%に高めれば、電気料金も3割安くなると主張していた。
頼・総統は、原発の稼働期限延長や、基隆市に第4液化天然ガス(LNG)受け入れ基地を設置するかどうかなどの問題について、委員会での議論や各方面との対話を通じて解決方法を編み出すと語った。
防衛と健康政策も
頼・総統はこのほか、防衛対策として民間人の訓練拡大や物資と配送システム、医療や避難先の整備などを担当する「全社会防衛靭性(レジリエンス)委員会」を設置した。副招集人に▽蕭美琴・副総統、▽潘孟安・総統府秘書長、▽呉釗燮・国家安全会議(国安会)秘書長──を任命した。
全民健康保険(健保)制度の持続可能性向上やがん予防基金、スマート医療などを推進する「健康台湾推動(推進)委員会」を設置した。副招集人は▽健康台湾推動聯盟の陳志鴻・招集人、▽社団法人国家生技医療産業策進会の翁啓恵・会長、▽元衛生福利部(衛福部)部長の陳時中・行政院政務委員──。
野党、行政権侵害と批判
最大野党、国民党の頼士葆・立法委員(国会議員に相当)は19日、頼・総統が委員会を設置することは卓栄泰・行政院長の行政権を侵害しているなどと批判した。第2野党、台湾民衆党の黄国昌・立法院党団(議員団)総招集人も委員会を招集して総統が部会(省庁)を直接指揮することになれば、行政院が形骸化するなどと批判した。
頼・総統は、卓・行政院長とも十分話し合っており、そのような問題はないと説明した。
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