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頼・総統が原発延長を示唆、気候変動対策委員会で(トップニュース)/台湾


ニュース 公益 作成日:2024年8月9日_記事番号:T00116883

頼・総統が原発延長を示唆、気候変動対策委員会で(トップニュース)/台湾

 頼清徳・総統は8日、2050年のネットゼロ(温室効果ガス排出量実質ゼロ)目標達成のためエネルギー政策などを議論する「国家気候変遷対策委員会」の第1回会議を主催した。頼・総統は、エネルギー問題は原子力発電推進か原発反対かという単純な問題ではないと指摘し、多角的な選択肢から複数を選択することで、現実的な対策で、着実に問題を解決できると語った。現在、唯一稼働している第3原発(屏東県恒春鎮)2号機は25年5月に運転期限を迎える。産業界は、電力供給の不安から、原発延長を求める声が根強い。9日付経済日報などが報じた。

/date/2024/08/09/00climate_2.jpg国家気候変遷対策委員会の第1回会議は、4時間に及んだ(総統府リリースより)

 頼・総統は、政府の目下の課題は▽電力の安定供給、▽多様なグリーンエネルギー開発、▽原発の存廃、新技術をはじめ、ネットゼロを実現するあらゆる方法を排除しないこと──と指摘した。いずれも社会との対話、社会的合意形成(共通認識、コンセンサス)が必要で、原発の安全性や高レベル放射性廃棄物(核のごみ)、法律など多くの問題を解決しなければならないと語った。

 国家気候変遷対策委員会の副招集人を務める童子賢・和碩聯合科技(ペガトロン)董事長は、太陽光発電や水素など、温室効果ガス(CO2)を排出しない発電によるグリーン電力は貴重なもので、50年のネットゼロを目指すには、第2原発(新北市万里区)の再開、第3原発の延長が必要との考えを示した。

 第1回会議は、▽再生エネルギー開発が最大公約数、▽電源に関する情報開示のプラットフォームを構築し、社会の理性的な議論と合意形成を目指す──の2点で合意した。

半導体やAIで電力需要倍増

 頼・総統は、公営電力会社の台湾電力(台電、TPC)に対し、電力供給のレジリエンス(強靱性)向上計画を従来予定より4年早め、28年までに完了するよう指示した。

 TPCの曽文生・董事長は国家気候変遷対策委員会で、24〜30年の半導体産業とAI(人工知能)産業の電力使用量は計500万キロワット(kWh)以上で、30年にAI産業の電力使用量は現在の3倍を超えると説明した。

 TPCは、7月末に第3原発1号機の運転を停止した。現在稼働しているのは第3原発2号機のみで、25年5月に運転期限を迎える。

「グリーンエネ頼りは非現実的」

 有力経済団体、中華民国三三企業交流会(三三会)の林伯豊・理事長は、グリーンエネルギーの発展は必要だが、原発を廃止してはならないと主張した。原発を延長しない限り、台湾は脱炭素社会を実現できないと語った。

 原発の代わりに、地熱発電や水素発電などのグリーンエネルギーも議論されているが、専門知識がある企業や業界関係者は、技術面やコストからまだ現実的でないと指摘している。

 2011年3月11日の東日本大震災の東京電力福島第一原発事故を受け、台湾では脱原発ムードが高まった。蔡英文・政権(民進党、16~24年)は、25年の脱原発政策を推進していたが、18年の住民投票で、「25年までに原発を全て停止する」と定めた電気事業法(電業法)の条文削除が決まった。今年5月に就任した頼・総統は6月に、国家気候変遷対策委員会を総統府に設置した。新型原子炉(EPR)導入を提言していた童・董事長らを副招集人に任命するなど、原発継続に舵(かじ)を切り直したい様子がうかがえる。

 

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