自動車市場の不振で、各メーカーで減給、強制休暇、リストラなど経営状態の深刻化が伝えられる中、政府が買い換え補助の支給や貨物税(物品税)減税などの救済措置を実施する方針を決めた。経済部では、「消費者にとっては新車購入の頭金程度の負担軽減となる」としており、これにより自動車市場の活性化を図りたい考えだ。20日付経済日報によると、実施は早ければ年明けになる見通しだ。
「急がなければ、間に合わない」
行政院経済建設委員会(経建会)の陳添枝主任委員は19日、立法院経済委員会で、「自動車産業は深刻な危機に直面しており、政府は租税方面で協力を検討する」と発言した。自動車産業の業界団体、台湾区車両工業同業公会(車両公会)は既に10月、買い換え補助の支給や貨物税減税などの救済措置を政府に要望しており、これに政府の同意が得られた形だ。
政府が救済方針を示したことに対し、自動車業界からは、「どのような方策でもよい。重要なのは『速やかな実施』だ。協議や立法に時間をかけている間につぶれるメーカーが出る恐れがある」と具体策の早急な実施を求める声が上がっている。
業界は車齢別補助を要望
車両公会は、消費者の自動車買い換えに対する補助は、旧所有車の使用年数によって区別を設けることを要望している。
使用年数10年以上の場合は、小型乗用車の新車購入に対し、一律5万台湾元(約14万5,000円)の支給を求めている。一方使用年数が10年以内の場合は、中古車輸出市場の活性化も視野に入れ、車の売却を受けた中古車業者がその車を輸出する際、売り主が新車を購入するときに貨物税還付を受けられるチケットを引き渡すというシステムを提案している。貨物税の還付率は、使用年数1年の場合90%、使用年数2年の場合80%といった具合に、車齢が若いほど還付率を高くする設定だ。
ある業者は提案について、「排気量1,600ccで50万元の新車の場合、貨物税は12万5,000元にも上る。これが引き下げられれば購入意欲を刺激できる」と説明している。
政府は一律2.5万元の補助を支持
ただ、工商時報によると、経済部と経建会は新車購入への補助支給案について原則同意しているものの、具体策としては車齢の区別なく一律1台当たり2万5,000元の補助とする案を支持している。財政部も車齢に基づく減税は作業が煩雑だとして一律方式が好ましいという認識だという。
また、車両公会は、自動車メーカーに対する貨物税の徴収基準を、現行の25%(2,000cc以下)と30%(2,000cc以上)の2段階から、15%、20%、30%の3段階に変更することを要望しているが、経済部工業局では、1,000以下~2,500cc以上まで500ccごとに区切る方式を提案しており、税率は財政部と検討して決めるとしている。
このほか車両公会は、電動自動車に対する貨物税の0%への引き下げや、自動車部品への関税の8%から4%への臨時引き下げも要望しており、政府も環境に優しい車種への貨物税引き下げを検討している。
公平性に疑問も
ただ、今回経済部が自動車業界の救済方針を示したことに対し財政部関係者は、「現在どの業界も経営が苦しく、自動車業界に対し減税を実施すれば、他業界から同様の措置を求められた場合抵抗できない」と懸念している。同部ではまた、減税措置の期限は1年以内にすべきとの考えも表明している。
【表】