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作成日:2008年11月21日_記事番号:T00011738
芳香剤で集団中毒?中学生10人が吐き気や目まい
屏東県立公正国民中学で20日、奇妙な事件が発生した。午前中の2時間目の数学の授業が終わろうとしていたときのこと。2年5組のある女子生徒が突然、おかしなにおいをかいで気分が悪くなり、トイレへ駆け込んで嘔吐(おうと)した。すると他の生徒も次々に嘔吐や目まい、腹痛などの症状を訴え始め、結局教室の後方の座席に座っていた生徒、男女各5人の計10人が救急車で病院に運ばれることに。
病院側は、空気中に散布された何らかの物質を吸入したことによる集団中毒と判断。生徒たちに酸素吸入や点滴治療を施したところ、半時間後に症状の緩和が見られた。生徒たちは血液検査の結果、肝機能や腎機能に異常はなく、午後7時ごろまでに全員が無事退院したという。
行政院環境保護署の環境有毒災害救急チームが現場を調べたところ、教室は窓が開け放たれ空気の流通も良好で、有害な揮発性の物質は検出されなかった。生徒の所持品などを調べたところ、ある男子生徒のかばんから除湿用の芳香剤6個が見つかったことから、芳香剤の化学成分、酢酸ビニルが原因との見方も出たが、濃度は低く毒性は検出されなかった。
なお、酢酸ビニルは第4類の有毒化学物質と認定されており、長期にわたり接触することで目や皮膚、気道に刺激を与える。加水分解すると有害物質のアセトアルデヒドが生成され、含有量22ppmで気分が悪くなったり軽いせきが出るという。
環境有毒災害救急チームの蔡暁雲隊長によると、生徒が腹痛の症状を訴えたことは不可解だが、恐らく集団心理が働いた結果ではないかという。一体、何が原因でこのような集団中毒が発生したのか、さらなる分析結果を待つしかなさそうだ。