液晶パネル業界で景気低迷を原因とした投資計画見直しが相次ぐ中、鴻海集団傘下の群創光電(イノルックス・ディスプレイ)が、中国アモイでの後工程モジュール(LCM)工場建設計画を、当面見合わせることを決めた。同社は前工程の第6世代工場の生産拡張を延期しており、これに応じた措置だ。計画の再推進は市場の動向に応じて決めるとしている。1日付蘋果日報が報じた。
同社はアモイ市の「火炬高新技術産業開発区(火炬高新区)」で1,000万米ドルを投じてモニターや液晶テレビ向けの後工程工場を設置し、来年上半期から稼働させることを計画していた。行政院経済建設委員会(経建会)の認可も取得済みで、前工程拡張に伴い後工程の龍華(広東省深圳市)工場の生産能力を補完する効果が期待されていた。
しかしパネル需要の不振で、前工程の第6世代工場の月産能力のガラス基板投入ベースで6万枚から9万枚への拡充を延期したため、19インチモニター用パネル換算で100万枚以上、生産規模が縮小した。そこでまずは龍華工場の生産ライン拡張で対応して、投資コストの低減を図る。アモイ工場について、群創の許嘉成スポークスパーソンは、「断念したわけではなく将来的には設置する」と強調した。また、今年の中国投資は6億台湾元(約17億円)強で、来年以降も増額していく考えだが、全体的として投資計画を延期するとの見方も示した。
なお第6世代工場の拡張計画は予定通り年内に設備搬入し、来年第2四半期から稼働させるという。拡張後の最終的な生産能力は従来計画では12万~14万枚だったが、12万枚に改める方針。投資額は800億元だ。
鴻海集団、世界で5万人削減か
景気低迷でハイテク大手にもリストラの波が押し寄せているが、許氏によると群創は無給休暇を導入しておらず、生産ラインも正常に稼働している。外部委託の量を調整することで、従業員の作業量を確保しているという。
しかし同社の所属する鴻海集団は、30日付蘋果日報によると、全世界で50万人近い従業員の1割に当たる5万人の人員削減を行うという観測が出ている。富士康科技集団(フォックスコン)で5,000人、鴻海精密工業のハンガリー工場では1,500人が解雇されるとみられている。
これについて丁祈安・鴻海集団スポークスパーソンは、人員のスリム化自体については認め、拠点の移転や自動化設備の導入などさまざまな対応を検討していると語っている。