ファウンドリー世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は1日、景気低迷で出荷量が減っているとして連結売上高予測を8.6%下方修正した。これにより今期売上高の前期比減少幅は当初予測の25.7%から32.2%へと拡大する見通しだ。設備業者によると、電子製品の末端需要が冷え込んでおり、大口顧客であるSTマイクロエレクトロニクスやクアルコム、聯発科技(メディアテック)など大手半導体メーカーで、出荷量が前期比30%近く落ち込んでいるとみられる。2日付工商時報などが報じた。
TSMCは第4四半期売上高の従来予測値を690億~710億台湾元としていたが、これを630億~650億元(約1,770億~1,820億円)まで引き下げた。同期の粗利益率も34~36%から30~32%へ、営業利益率も21~23%から17~19%へ、予測値を下方修正した。
稼働率は60%まで低下
同社の業績下方修正について外資系証券会社からは、「意外感はなく、予想範囲内」という反応が聞かれた。また、「同社の今期利益は115億~117億元にとどまり、5年3カ月ぶり最低となる」と予想している。さらに、生産ラインの平均稼働率は今期60%まで低下するとの見通しも示した。北米市場の不調から今後、聯華電子(UMC)、日月光半導体(ASE)、矽品精密工業(SPIL)などの域内半導体関連企業でも第4四半期業績の下方修正が行われるとみられる。
来年Q1出荷、さらに2割減も
業界内ではまた、来年第1四半期、TSMCの受注状況はさらに悪化するとの観測が出ている。米国市場のクリスマス商戦のスタート日で、1年で最も消費が伸びるとされる感謝祭(11月第4木曜日)翌日の「ブラックフライデー(28日)」では今年、電子製品の販売額が予想されたほど伸びず、半導体メーカーの在庫消化が進まないとみられることが主因だ。
今後半導体メーカーから今期業績の下方修正が相次ぐ見通しとなっており、来年第1四半期もファウンドリーへの発注が減少を続けると予想される。TSMCの顧客の中には既に同期の生産量削減を決定しているメーカーも出ているとされ、同社では来年第1四半期、出荷量が今期比でさらに20%減少し、稼働率は50%まで低下するという観測も出ている。
電子製品の回復、半年は望み薄
ファウンドリーは電子製品サプライチェーンの最上流部に位置するため、TSMCの業績下方修正に、川中、川下メーカーでは失望が広がっている。電子製品はファウンドリーから始まって販売されるまでに4~6カ月かかるとされ、TSMCの稼働率が落ち込むということは、今後半年間、同市場が回復する可能性が低いことを意味するためだ。
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