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作成日:2008年12月3日_記事番号:T00011994
植物園にも不景気の波、薬用植物など盗難相次ぐ
台北市の西南、博愛路南端に位置する農業委員会林業試験所付設の台北植物園は、日本統治時代の1896年に作られた苗圃が起源で、植物園に改名されたのは1921年のこと。面積8.2ヘクタールの同園は、緑の少ない台北市民の憩いの場でもあり、1日8.8トンの二酸化炭素を消費し、2.4トンの酸素を排出することで地球温暖化防止にも貢献している「台北市の肺」である。
ところがこの植物園で、このところ入園者による植物の盗難が急増している。園内には生育する1,500種以上の植物のうち、主に薬用植物など経済価値のある品種が被害を受けているという。
例えば、食用になる新芽は1斤(600グラム)100台湾元(約280円)以上の値段がつく「南洋山蘇花(リュウキュウトリノスシダ)」や、熟した果実を発酵させた調味料は1キロ200~300元になる「破布子(コルディア)」、暑気払いの薬効を持ち、デザートにもなる「仙草」、バナナに似た果物の「台湾芭蕉」などのほか、ヨモギやショウブなどもターゲットになっており、これら被害を受けた植物の修復経費は、園側の大きな負担になっているとか。
植物園では入園規則で植物を採ることを禁じており、スタッフや警備員、ボランティアを動員して監視しているものの、広大な面積を全てカバーするのは不可能。さらなる被害を阻止するため、とうとう警察による警備を要請した。
園内の植物を盗んだ場合、窃盗罪に問われるケースもあるほか、文化資産保存条例の適用を受けている貴重な植物については、故意に傷つけたり盗んだ場合高額の罰金が科せられるため、「ちょっとしたでき心」には注意が必要だ。