中国鋼鉄の董事長への復帰が決定している林文淵同社前董事長は26日、雲林県で大型一貫製鉄所を計画している台湾プラスチックグループと戦略提携を結ぶことを表明した。両社の協力体制が順調に進んだ場合、国内外の鉄鋼業界の勢力地図を塗り替える大きな影響を与えそうだ。27日付経済日報が報じた。
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経済部の担当者によると、林氏は今週台プラグループを訪れて戦略提携について協議し、一定の合意を見た。現段階では、台プラの製鉄会社は中国鋼鉄より3%以上の出資と、役員1人を受け入れる方針だ。
林氏はこの計画について、「台プラと共同で国際競争に立ち向かってこそ成長できる」と語り、スケールメリットの追求が目的と説明した。台プラ側も「新日鉄と韓国ポスコの提携関係が参考になる」と話している。
林氏は中国鋼鉄の董事長を務めていた3年前に台プラとの提携を計画したが、後任の江耀宗現董事長が、「台湾には一貫製鉄所はこれ以上必要ない」という立場で事実上立ち消えになっていた。来月からの董事長復帰により、提携が具体的に進展していくとみられ、このことは環境アセスメントでつまづいている台プラの製鉄所計画の推進にも有利だ。
「政治的任務」で評価2分
林氏の中国鋼鉄董事長職復帰は、あさって29日の董事会で決まる見通しだが、同人事は中国鋼鉄の関係者・資金のリソースを、来年の総統選挙でより有利に運用したい民進党政権の思惑があるとされている。このため鉄鋼業界でも支持者は歓迎する一方、そうでない者は拒否感情をあらわにしている。
高興昌鋼鉄の呂泰栄董事長は、「林氏は前回董事長職にあった時、中下流メーカーに高い関心を払い、双方がうまくいっていた」と期待を表明。しかし別のある上場鉄鋼会社の責任者は、「林氏は特殊な政治的任務を負っており、今後監視しなければならない」と冷ややかな視線を向けた。